2023 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀の亡命ロシア人社会と「移動させられたアーカイブズ」に関する研究
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19K00932
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
バールィシェフ エドワルド 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (00581125)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | archival Rossica / RZIA / アーカイブズの移動・離散 / ディアスポラ / 記録遺産 / ナショナル・アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は本研究プロジェクトの最終年度に相当していたため、本研究を成功裏に完成させるために必要なことを行った。まず、業者などを介して海外の文書館などに所蔵される一次・二次史料の収集を継続した。第二に、手元にある資料の解読・翻刻を進ませ、実証的な形で研究の進展を心掛けた。第三に、アーカイブズ学理論やアーカイブズ管理論の観点から「在外ロシア」の文書館とその記録群を分析し、「離散されたアーカイブズ」や「移動させされたアーカイブズ」を考えるための論理的な枠組みを構築しようとした。 具体的に言えば、第一に、チェコ共和国の国立図書館付属スラヴ図書室に所蔵される在外ロシア歴史文書館(RZIA)の歴史的な事務記録の調査・収集・閲覧に力を入れいていた。RZIAの制度的な体制とその進化、ロシア人ディアスポラとの協力的な関係の構築、世界各地における歴史記録の収集活動の特徴について検討していた。 第二に、アレクサンドル・コルチャーク提督(1874~1920年)の死後、彼の「日記」が1926~1927年にいかにRZIAに移管されたかを実証的に分析し、英文の学術論文にまとめた(現在、査読中である)。この論考のなかで、具体的な事例を通して、RZIAの体制はいかに記録収集に取り組み、記録の選別・鑑定に臨み、その所有権や著作権に関わる諸問題をいかに解決していたかを分析したとともに、RZIAに関する評価は「在外ロシア人」の間にいかに浸透して確立したかを解明しようとした。 第三に、以上のようなことを踏まえながら、「ディアスポラ・アーカイブズ」としてのRZIAの存在意義を考察し、「記録・アーカイブズの移動や離散」という現象を考えるための論理的な枠組みを模索しようとした。この諸事情に関わる問題をアーカイブズ学的に議論し、文書化することは、これから取り組むべき課題であると考えている。
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