2023 Fiscal Year Annual Research Report
知のグローバル化からみた18世紀末英露対日交渉の研究―大黒屋光太夫資料を中心に
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19K00940
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
滝川 祐子 香川大学, インターナショナルオフィス, 特命助教 (40532932)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大黒屋光太夫 / 日本図 / 英国海事博物館 / キリル・ラクスマン / アダム・ラクスマン / 日露関係 / 日英関係 / 18世紀後半の対外関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、在外の大黒屋光太夫関連史料の収集・分析に基づき、18世紀後半から18世紀末のロシアとイギリスによる対日政策について明らかにすることである。 最終年度の令和5年度は、①収集した資料の分析、②学会発表、を行った。①については、これまでに収集した資料と、東洋文庫のマカートニー関係の資料を閲覧し、資料の分析を行った。②については2023年11月にフランスの社会科学研究院・日本研究所の50周年を記念した国際学会がパリで開催され、その中のセッション“New Aspects of Maritime Cartography in Japan”においてパネラーとして参加した。Vera Dorofeeva-Lichtmann博士とEkaterina Simonova-Gudzenko博士の共同発表により、大黒屋光太夫についての紹介と、光太夫に由来し、西欧に現存する8枚の日本図について詳細な報告があった。それに続いて、筆者が本研究の成果の一部である、イギリス、グリニッジの英国海事博物館ケアード図書館で発見した光太夫日本図の写しについて、その歴史的背景とその時に日本図が持ちえた科学的価値について英国国立公文書館の外交書簡史料を示し、研究の成果を報告した。 本研究の最大の成果は、大黒屋光太夫日本図の写しがイギリス側によって当時秘密裏に持ち帰られたことを示す外交文書史料に基づき、その原史料を発見したことである。よって本研究により、当時のイギリスがロシア滞在中の大黒屋光太夫と彼が描いた日本図について高い関心を示していたことを実証することができた。
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