2019 Fiscal Year Research-status Report
A Social History of Islamic Saints and Shrines in Northwestern Eurasia and Central Asia
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19K01033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今松 泰 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任准教授 (80598938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 洋一 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (60410990)
磯貝 真澄 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教 (90582502)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イスラーム / ロシア / 聖者 / 聖者廟 / 聖地参詣 / スーフィズム / 碑文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、研究代表者と分担者は、交付申請書記載の研究課題(A)を実施した。 代表者今松と分担者矢島、磯貝は、6~7月頃に電子メール等で研究打ち合わせを行ない、代表者今松と分担者磯貝が9月、ロシア連邦タタルスタン共和国カザン市とバシコルトスタン共和国ウファ市に出張を行なった。その目的は史資料の所在調査と収集であり、(1)ウファ市近郊のフセイン・ベク廟(アク・ズィラト墓地)における調査、(2)カザン市の近く、ブルガル市所在のブルガル遺跡における調査、そして(3)カザン連邦大学ロバチェフスキー名称学術図書館手稿・稀覯本室、ロシア科学アカデミー・ウファ連邦研究センター文書館、バシコルトスタン共和国ヴァリディ名称国民図書館における調査である。10月以降は、9月の出張で収集した文献の整理(読解・分析作業のための準備)を行なった。 代表者と分担者磯貝は、ロシアでの研究作業を、ロシア科学アカデミー・ウファ連邦研究センター歴史言語文学研究所の全面的な協力によって実施できた。研究協力者は、アイブラト・V・プシャンチン所長、マルスィル・N・ファルフシャートフ研究員、ラミール・M・ブルガーコフ研究員である。グルナーズ・B・アザマートヴァ研究員の助力も得た。また、エヴゲニー・V・ルスラノフ・バシコルトスタン共和国文化遺産国家保護局考古遺産部長の協力も得た。 フセイン・ベク廟(アク・ズィラト墓地)の調査は、上述の歴史言語文学研究所を通して、所在地であるチシュミ地区の行政当局の許可を得て行なった。フセイン・ベク廟の観察と写真撮影をした後、アク・ズィラト墓地の17世紀~18世紀のものとみられる墓石群の銘文を写真撮影で収集し、それぞれの位置情報とあわせて記録した。ブルガル遺跡の調査では、そこにおける墓廟や墓石の様式が、フセイン・ベク廟とアク・ズィラト墓地のものと同じであることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展していると判断する理由は、交付申請書に記載した本年度の計画を、ほぼ実施できたためである。ロシア科学アカデミー・ウファ連邦研究センター歴史言語文学研究所との協力により、実施に現地行政当局との交渉を要するフィールド調査も、スムーズに行なうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も本年度と同じく、交付申請書に記載した計画を実施する予定である。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の問題のため、交付申請書に記載した研究課題(B)のウズベキスタン、カザフスタンにおける史資料の所在調査と収集は、実施できない可能性が高い。その場合は当初計画を少し変更し、研究課題(A)の史資料の読解・分析の作業をより早く、学会等での口頭報告にまとめることのできるレベルまで進める。 上述のような計画変更を行なう場合、研究課題(B)の海外調査は、次年度3月か、またはさらに翌年度の8月に延期する。そして、海外調査の可否にかかわらず実施可能な作業については早めに進めていくことで、当初計画通りの研究期間での成果公開を実現するよう努める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究分担者矢島がロシア連邦における史資料の所在調査と収集に参加しなかったためである。その作業は、代表者今松と分担者磯貝が一定程度行なった。 次年度における当該額の使用計画だが、上述のように史資料収集のためのものであることを踏まえ、やはり史資料の所在調査と収集に利用する。すなわち、旅費、図書購入代金、文献複写費、通信費等にあてる。
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