2021 Fiscal Year Research-status Report
A Social History of Islamic Saints and Shrines in Northwestern Eurasia and Central Asia
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19K01033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今松 泰 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任准教授 (80598938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 洋一 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (60410990)
磯貝 真澄 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (90582502)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 碑文 / 聖者崇敬 / 聖地参詣 / イスラーム / ロシア / デジタルアーカイブ / 人文情報学 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、次の研究課題(A)と(B)を実施するものである。 (A) 西北ユーラシアのイスラーム聖者とその墓廟をめぐる信仰実践の様相を、ロシア連邦ウファ市近郊のフセイン・ベク廟(アク・ズィラト墓地)を事例とし、書物等の紙媒体で遺された文献と、墓廟およびその周辺の墓石群の銘文をあわせて収集・分析することで、解明する。 (B) 研究課題(A)で明らかになる、西北ユーラシアについての事例を、中央アジアの同種の事例と対照し、比較分析する。その対象は、タシュケント市近郊のザンギー・アタ廟と、カザフスタン・テュルキスタン市に所在するアフマド・ヤサヴィー廟である。この作業により、西北ユーラシアの事例を中央アジアのスーフィズム研究やイスラーム聖者崇敬・聖地参詣研究に繋げるとともに、西北ユーラシアの特徴が解明できるのであれば、それを明確にする。 本年度は、研究期間の最終年度だったが、新型コロナウイルス感染症に起因する状況のため、ロシア連邦、およびウズベキスタン、カザフスタンに出張しての調査が実施できなかった。したがって研究課題(A)のため、研究協力者のマルスィル・N・ファルフシャートフ氏(ロシア科学アカデミー・ウファ連邦研究センター歴史言語文学研究所)にロシア国内出張を依頼し、サンクトペテルブルク市のロシア国民図書館やロシア国立歴史文書館などで史資料を収集した。ロシア帝政期の東洋学者によるフセイン・ベク廟やアク・ズィラト墓地の調査報告などを入手できた。 収集した史資料の読解・分析については、研究課題(A)のため、フセイン・ベク廟とアク・ズィラト墓地の墓石・墓碑銘の画像データベース "An Islamic Sacred Site and Epitaphs in the Southern Urals" を作成し、『地域研究デジタルアーカイブ』(運営:東北大学東北アジア研究センター)で公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症に起因する状況により、研究課題(A)については、墓碑銘以外の史資料の収集が遅れ、それにともなって読解・分析作業も若干遅れている。また、研究課題(B)のための中央アジア調査は、本年度までに代替的作業を実施できなかった。したがって、研究期間を延長する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題(A):フセイン・ベク廟とアク・ズィラト墓地の墓石・墓碑銘の画像データベースは、墓碑銘の解読結果と、画像データベースの、特にメタデータのライセンスについての公開条件をあわせて検討し、メタデータの加筆を進める。あわせて、史料紹介の口頭報告を行い、論文を作成して公刊する。 研究課題(B):中央アジア調査が可能な状況であれば実施し、史資料の収集と読解・分析を進める。それが困難であれば、ウズベキスタンの研究協力者に史資料収集を依頼するか、またはトルコのイスタンブル市で可能な範囲で、史資料を収集し、読解・分析と成果公開を進める。こうした方策についての選択と判断は、ロシアによるウクライナ侵攻に起因する状況をみて行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、研究課題(B)のための中央アジア調査が、新型コロナウイルス感染症に起因する状況のため、実施できなかったことである。したがって、次年度使用額は主に、研究課題(B)のための中央アジア調査、またはウズベキスタンの研究者に対するその代替的作業の委託、もしくはトルコのイスタンブルでの調査に使用する。こうした方策についての選択と判断は、ロシアのウクライナ侵攻に起因する状況をみて行う。
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