2023 Fiscal Year Annual Research Report
Early State Formation and Climate Change in Ancient Mesoamerica
Project/Area Number |
19K01108
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
福原 弘識 埼玉大学, 教育機構, 非常勤講師 (10725956)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 初期国家 / 環境変動 / 火山噴火 / メソアメリカ / 考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題研究では、メキシコ合衆国プエブラ州トラランカレカ遺跡において層位的発掘調査を実施し、同州のチャウトラ湖湖水底部においてボーリング調査を実施した。ボーリング調査ではポポカテペトル火山の噴火活動の痕跡を検出することに成功し、土壌サンプルの分析を通して、トラランカレカ遺跡を含む周辺の古環境とその変化を復元した。また層位学的発掘調査と出土遺物の分析及び科学分析の結果、トラランカレカの北東部に都市が拡大する時期が前200年頃、その後に放棄されたのが後100年頃であり、この区域が主に住居として利用されていたことを明らかにした。 ポポカテペトル火山の噴火が従来から考えられているように後1世紀の出来事であるとすれば、トラランカレカの人口増加と都市の拡大はポポカテペトル火山の噴火活動に前後して停止ししたことになる。さらに、ボーリング調査で得られた土壌サンプルの分析結果から、テオティワカンの衰退期に降水量が増加し、823年のポポカテペトル火山噴火はメキシコ中央高原のセトルメントを再び動かしたことを指摘した。初期国家の成立から拡大期にかけての環境は、ポポカテペトル火山噴火という衝撃的な出来事があるものの比較的穏やかに推移していたことも理解された。 最終年度には、前年度までに得られた遺物の整理作業を実施し、全体の成果を学術論文としてまとめ、発表する準備を進めた。
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