2021 Fiscal Year Research-status Report
Where have Toraijin, immigrants of the yayoi period, gone?
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19K01114
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
齋藤 瑞穂 九州大学, 人文科学研究院, 助教 (60583755)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 弥生時代 / 日韓交渉 / 渡来人 / 土器型式 / 須玖式土器 / 甕棺 / 金海式甕棺 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は特に,半島系の俗称「粘土帯土器」が日本列島に多く出現し,かつ,「国産」青銅器生産が始まり,かつ階層化への道を本格的に歩み始めた弥生時代前期末~中期全般に焦点を当てて研究を実施した。 緊急事態宣言の発令などがあって県外・国外での調査を行うことはできなかったが,それでも資料調査を4月18日,6月27日,10月24日,10月31日,11月23日,12月19日,2月23日に福岡市埋蔵文化財センターで,5月20日に九州大学考古学研究室で,7月10日に福岡市博物館で,11月4日に大野城市資料収蔵庫で,3月10日に大野城心のふるさと館で実施した。福岡市埋蔵文化財センターや福岡市博物館での調査は,弥生時代研究者との共同観察の形で実施し,有意義な意見交換も行うことができた。三角形粘土帯土器の出現期とされる弥生時代中期については,「須玖式」に関するこんにちの参照枠が1980年代に相次いで提出され,以来用いられてきたが,認定自体に問題を孕み,結果的に相当のズレが生まれてしまっていることを2020年度までに明らかにしていた。2021年度は,同式周辺の再構造化に本格的に着手し,東入部(古)・(新)式,須玖Ⅰa~Ⅰe式,須玖Ⅱa~須玖Ⅱd式の諸式からなる細別編年案を提示するに至った。現在,この成果は査読誌に投稿中である。福岡周辺に2グループいた渡来人集団の動向を予察しうる結果も得られた。 人そのものを検討するうえでは,墓の研究が必須である。これまでの研究は,資料の少ない時点の枠組みを堅持する姿勢が目立ち,実態と大きく齟齬が生じていた。上述の資料調査により,弥生時代前期末と言われてきた俗称「金海式甕棺」はおしなべて中期初頭以降に属し,中期半ばまでの長期間に及んでいることが判明した。この成果を12月12日の九州史学会で速報した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に「今後の研究の推進方策」として挙げた「論文化に到ってないものについては2021年度中に成果公表する予定である」を達成することができた。また,もう一つの課題であった甕棺の問題についてもおおよその見通しが立った。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,2021年度学会発表で速報した成果を,論文化することが課題である。また,渡来人問題を考えるうえで重要なのは,農耕の列島内拡散への関与の程度についてであるが,この点については2022年度着手したい。弥生時代開始期の渡来人がどこまで移動したかという点に着目して,次のステップに進む足掛かりを得る。
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Research Products
(1 results)