2019 Fiscal Year Research-status Report
土壁と木材の非破壊現地調査技術の文化財数寄屋建築への展開と保存設計技術の構築
Project/Area Number |
19K01125
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
村本 真 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 准教授 (70510296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢ヶ崎 善太郎 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (90314301)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 文化財数寄屋建築 / 耐震性能評価 / 非破壊検査 / 数値解析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,文化財数寄屋建築を対象に現場診断結果を用いた耐震性能評価技術を開発し,合理的で信頼性の高い評価情報を得るべく,土壁と構造木材の材料特性を推定できる要素技術を提供することを目指している.平成31・令和元年度に実施した内容を以下に示す. (1) 壁厚が薄い土壁の繰り返し載荷実験を実施し,数値解析法の精度検証および建物の耐震性能評価に使用可能な基礎資料を得た. (2) 木材の非破壊検査法の構築のため,無欠点小試験体の圧縮試験と押込試験の関係性を評価するためのキャリブレーションデータの収集と分析を実施した.ヒノキ,ベイマツ,スギの製材から切り出した縦圧縮および横圧縮試験体により材料特性を収集すると同時に,押込試験との関係性を調べた.樹種によらない材料特性推定方法を検討したが,必ずしも全ての樹種で2つの実験に良い相関がみられなかったため,原因を調査する必要がある.同時に,実大材での検討も行っているが,実験データ数が少ないためさらなる検討が必要である.また,これらの関係性を調査する中で,圧縮試験ではひずみゲージのみでなく,画像解析(DIC)による材料特性の取得も併用した. (3) 木材材料の現場非破壊評価技術の構築のため,木材の曲げ破壊実験から木材の材料特性を抽出し,数値解析法で用いるための手法を検討した.(1)で実施したDICを使用し,木部材そのものの破壊現象を予測する数値解析モデルを検討した. (4) 数値解析による検討の準備として,木造軸組の解析精度を向上するべく,蟻落し接合部を持つ軸組の解析モデルを検討した.単調載荷および繰り返し載荷実験の結果を予測することが可能となった.これまでに長ほぞ込栓の接合部,通し貫接合部の解析モデルの検討も行っており,全体架構の解析のためのモデル構築手法を積み上げている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
土壁の非破壊検査法の検討について,実測可能な建物例および既存土壁から取り出した壁面サンプルが十分に得られなかったため,その検証が遅れている.ただし,数値解析法の準備が進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は,以下のように進める. (1) 木材の非破壊検査法の構築でキャリブレーションデータの蓄積を進める.ここでは,当初の研究計画になかったが,DICによる分析が有効であることがわかったので,無欠点小試験体および実大材での検討を引き続き実施する. (2) 土壁の非破壊検査法の構築のため,実建物での検証を実施する.また,土壁劣化を調査するための壁面サンプルの取得機会を増やし,キャリブレーションデータとして収集していく. (3) 開発中の数値解析法の検証を未検討の接合部で実施する.
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Causes of Carryover |
実験用の試験体の入手が市場の繁忙期と重なって遅れたため.引き続き,必要な実験的検討を行うが,令和2年度の状況も良くないため,実施に遅れが出る可能性がある.
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Research Products
(2 results)