2019 Fiscal Year Research-status Report
屋外歴史的建造物の時空間的関係を可視化するデジタル表現手法の開発
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19K01145
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
根路銘 もえ子 沖縄国際大学, 経済学部, 准教授 (60369197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤嶺 有平 琉球大学, 工学部, 准教授 (00433095)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 三次元再構成 / 写真測量 / 拡張現実 / 展示手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のねらいは,沖縄県内に点在する「グスク」等,歴史的価値の高い史跡について,その立体的な構造と周辺地形を含む地理的位置環境および史跡間の地理的位置関係を立体的に可視化し,かつ史跡内に点在する文化財を3次元地理情報と結びつけて共有(公開)するシステム及びコンテンツ制作支援ツールを構築することである.今年度は,史跡の3次元構造を可視化を目的として,地上からの撮影に基づく写真測量手法の確立を目指した.地上から撮影することで樹木等上空から見えない箇所の三次元復元を実現すると同時に,航空法その他の制約によりドローン等による空撮が場所においてはコストバランスの優れた手法となる.複数の史跡(グスク)において写真撮影を行い特徴点マッチングおよびSfM(Structure from Motion)による三次元復元を試みたところ,高精度な点群データおよびテクスチャ付きポリゴンモデルが得られることがわかった.一方で,グスク独特の形状によりグスク全域の3次元復元を自動的に行うことは困難な場合があった.その場合,現時点では複数箇所の三次元点群データを3DCAD等を用いて手動で統合する作業が必要となる. 現存する史跡だけでなく,現在は建造物の地下に埋もれてしまっているものの発掘調査により過去に建造物が存在した蓋然性が高いとされる遺跡について,発掘資料及び同時代の他の構造物に関する資料等に基づき集落全体を地形の起伏を含めて3次元CGにより復元し,AR(拡張現実)による展示を行った.成果物は,沖縄県立博物館において開催されたグスク展(2019年11月19日(火) ~ 2020年01月19日(日))において期間限定で展示され来館者から好評を得た.アンケート評価から,ARを用いた史跡展示は,その立体構造の把握に有効であることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,地上からの撮影画像に基づき三次元再構成を行う手法の確立を解決すべき課題の一つとして挙げていたが,初年度の研究成果により十分実用的な精度で計測可能であることが示された.さらに,当初計画には含まれていないものの,現在観察が不可能となっている遺跡について,当時(約1000年前)の状況を様々な資料に基づき推定し,3次元モデルと構築,拡張現実を用いた手法により沖縄県立博物館において実際に展示した.展示物は来館者から好評であり,展示手法として有望であると考えられる.以上の理由により,進捗状況は,概ね順調とした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,法的に可能な遺跡についてはドローン等による空撮を併用することで写真測量の効率化を目指し,多数の史跡の測量を目指す.ただし,新型コロナウイルスの感染拡大状況によって計画の変更もあり得る. 得られた測量結果(3次元点群またはテクスチャ付きポリゴンモデル)は,史跡間の広域的な位置関係及び周辺地形との関連を可視化するため,地形データ及び古地図等を統合的に可視化するシステムが必要となる.測量成果を地形データに統合するためのツール及び自動化手法の開発を行う.展示システムは,広く一般に公開可能とするためアップル社製タブレット端末(iPadなど),スマートホン等から利用可能なアプリケーションとして開発する予定であるが,同時にウェブブラウザ上で動作可能なシステムとして実現可能かを模索する. 提案システムでは,文化財にアノテーションを付加する際,3次元位置情報の指定が必要となるが,3次元位置の指定をマウスとディスプレイ等一般的なパソコン上で行うのは慣れが必要である.そこで,拡張現実を利用した立体展示物に対するアノテーション付加手法の開発を行う.博物館による実際の展示から拡張現実による立体物の展示アプリケーションは,初見でも容易に操作可能であることがわかっており,同様の手法を用いることでユーザの学習コストを大幅に減少できる可能性がある.
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Causes of Carryover |
年度末にかけてコロナの影響により調査研究が滞ったため
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Remarks |
沖縄県立博物館において開催された「グスク・ぐすく・城 -動乱の時代に生み出された遺産-琉球王国のグスク及び関連遺産群世界遺産登録20周年記念特別展」へ下記を出展 ・集落の変化を見る―AR(Augmented Reality:拡張現実)で見る!普天間後原遺跡―
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Research Products
(2 results)