2023 Fiscal Year Annual Research Report
南西諸島におけるカルスト地形の形成プロセス:野外計測と野外実験からのアプローチ
Project/Area Number |
19K01160
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
羽田 麻美 琉球大学, 国際地域創造学部, 准教授 (70508746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 久 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30423742)
廣瀬 孝 琉球大学, 国際地域創造学部, 教授 (40305181)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 石灰岩堤 / 円錐カルスト / コックピット / 石灰岩 / 溶食速度 / 野外実験 / 沖縄島 / 沖永良部島 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,1)亜熱帯島嶼における石灰岩の溶食速度の把握と,2)石灰岩堤(ライムストーンウォール)の形成プロセスの考察を中心に,次の通り調査を進めた。 1)溶食速度を把握するための野外実験は,沖縄島の円錐カルスト地域で2021年度に開始した実験に加え,沖永良部島の第四紀琉球石灰岩地域にて新規実験を開始した。沖縄島の実験と同一の石灰岩試料を用いて実験を行った結果,沖永良部島の石灰岩は,地上に比べて土層中で約2倍速く溶食が進行するという結果が得られた。一方,沖縄島では地上と土層中の溶食速度の差は約3倍であった。両地域の差異は実験期間中の気候条件(気温と降水量)では説明されず,基盤岩の地形や岩質,それにより生ずる水文環境の違いを考慮する必要性が示唆された。 2)沖縄島南部の断層沿いに発達する石灰岩堤を対象に,断層崖表面と断層崖を人工的に切り取った,新鮮な石灰岩が露出する切取法面(以下,切取面)におけるシュミットロックハンマー計測を実施し,石灰岩堤の形成プロセスについて,力学的強度の観点から考察を進めた。計測の結果,岩石強度は切取面よりも断層崖表面の方が大きく,断層崖表面において表面硬化(ケースハードニング)が生じていることがわかった。このことから,石灰岩堤は,断層崖表面が硬くなり,溶食に対する抵抗性が大きくなることによって形成されると考えられる。さらに,石灰岩堤の断層崖と同一の断層面で形成された海食洞を対象に,海食洞最奥部の断裂面を断層崖形成前の断層面とみなし,シュミットロックハンマー計測を実施した。断裂面の強度は断層崖表面より小さく,切取面とほぼ同じ値をとり,表面硬化が断層崖形成後に始まる可能性を示唆する結果が得られた。
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Research Products
(3 results)