2020 Fiscal Year Research-status Report
19世紀における地図製作者の系譜と作図法の継承・革新
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19K01167
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小野寺 淳 茨城大学, 教育学部, 教授 (90204263)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 19世紀 / 石黒信基 / 北本栗 / 酒井捨彦 / 宗孟寛 / 鷹見泉石 / 地図 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年3月14日から16日まで射水市新湊博物館で石黒信之・信基と北本栗作成の地図の撮影と原本調査を行った。現在、分析途中である。また、宗孟寛の地図ならびにその子孫宅へ神戸市・大阪市への調査を予定していたが、2020年度は実施不可となった。このため、茨城県内で本研究と関連する鷹見泉石とその作製地図の調査を実施した。所蔵機関とも話し合い、未撮影の村絵図類を撮影し、泉石の村絵図の作製・収集を研究することにした。 泉石の作製・収集地図は、藩領図、地域図、城郭図、日本全図、さらに海外図と多岐にわたり、1,000鋪近くになる。この中で蘭学者泉石による著名な地図は、嘉永3(1850)年刊行「新訳和蘭国全図」である。藩主土井利位が老中を辞職し、弘化3(1846)年には泉石も古河に隠遁した。井田浩三(2013)は「新訳和蘭国全図」の原図を探し、原図刊行から全図完成までに約30年の時間が経過したことを明らかにした。泉石の作製・収集地図の研究は、「新訳和蘭国全図」に関するものが多い。 しかし、古河歴史博物館所蔵鷹見家歴史資料は日記類、書簡、地図、蘭書、絵画、工芸品など多岐にわたり、その数は10,000点に上る。このうち「地図 一、藩領図(三)村絵図」に分類される133鋪のうち83鋪を分析した。これらの村絵図には複数の種類があることが明らかになった。さらに村絵図に記載された村数と古河藩「藩領村絵図目録」の分析から、泉石は天保2年9月頃、城附領の村全体に村絵図の作成・提出を命じたと考えられる。その際、すでに個々の村で作成されていた村絵図またはその写しを提出させたと考えられる。また、村絵図作成の時期が天保国絵図編纂事業よりも早かったことから、泉石は藩政に活かすという目的で村絵図の作製・収集を行った可能性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染により、県外への資料収集が実施できず、研究計画通りの実施は困難な状況になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染の状況によるが、当初の計画通りに実施をしたいが、早期に感染が終息しない場合は、鷹見泉石作製・収集地図の調査を継続したいと考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度は、計画していた県外への資料収集ができなかったため、旅費の支出が無い。次年度に解除されれば、県外への資料収集を実施し、研究発表なども実施する予定である。
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