2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K01200
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
辻 貴志 佐賀大学, 農学部, 特定研究員 (30507108)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 勲 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (50572814)
稲岡 司 佐賀大学, 農学部, 教授 (60176386)
藤村 美穂 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60301355)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ラオス / アッタプー県 / オイ / 水田漁撈 / 環境変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ラオス南部アッタプー県における先住民族で水田漁撈を生業に組み込み生活を営んでいるオイの人々の、その特殊な水田漁撈文化が、近年のゴムやサトウキビなどのプランテーションの影響により負の変容に直面している実態について明らかにすることを目的としている。オイの人々は、水田の中に頑丈な生簀をこしらえ、雨季の河川の氾濫などで水田に入り込んだ魚を生簀に閉じ込め蓄養し、必要な際に水田の水を抜き生簀の中の魚を漁獲する形態の水田漁撈を行っている。この水田漁撈はオイの人々を特徴づける文化的装置となっている。しかし、近年のベトナムや中国による自然開発によって、プランテーションへの出稼ぎによる水田の労働力不足、魚の餌となる家畜の糞の買取などが行われた結果、オイの人々の水田漁撈に負の影響が出ている。例えば、魚が死滅した水田や魚のサイズが縮小化した水田が続発するなどの被害が確認されている。そこで、本研究では、1)各世帯を巡回して自然開発前後の水田の魚と環境の変化についての詳細な聞き取り調査、2)水田の魚を含んだ食の質と量の実態を精緻に明らかにする食事栄養調査、3)水田に化学物質が流れ込んでいるという地域住民の言説ついて具体的に解析するための水田の水質調査、4)プランテーションの実態調査、以上の4点から水田漁撈民オイの生活と社会環境変化について究明し、オイの伝統的生業と社会環境変化に関するエスノグラフィーの記述することを目指した。本研究は現地でのフィールドワークを主体とすることから、アッタプー県での作業を要する。しかし、不本意ながら今年に発生したコロナ・ウイルスが原因で、ラオスへの立ち入りが極めて困難になり、3月に予定していた現地調査を断念したことから、現時点での研究実績は出せていないのが現状である。コロナ・ウイルスの被害が終息しだい、現地調査を実施し、以上の課題に鋭意取り組んでいく計画である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度に発生したコロナ・ウイルスの影響により、ラオスへの入国および調査活動が不可能な状態に陥ったことで、本研究の骨子である現地調査を行えていない状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ・ウイルス騒動が落ち着き、ラオス入国に差し支えない段階となれば、至急現地調査を開始する計画である。調査計画に自体に変更はないが、時間的ロスを被ったため、研究に遅れが生じている問題を同時に克服していく必要がある。
|
Causes of Carryover |
コロナ・ウイルス騒動により予定していたラオスでの海外調査、タイでの国際会議発表がキャンセルになったことから当該の予算を消化できていない。今年度末頃に海外調査を行うとともに、適当な国際会議に参加し、適切に予算を消化する計画である。
|