2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K01204
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Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
阿南 透 江戸川大学, 社会学部, 教授 (50255204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 忠賢 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (00213439)
有本 尚央 甲南女子大学, 人間科学部, 准教授 (70734333)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 都市祭礼 / 祝祭性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、前年度に調査した祭礼について、2回目の調査を実施する予定であった。具体的には、南砺市福野の「福野夜高祭」、東京都府中市の「くらやみ祭り」、砺波市の「となみ夜高まつり」、秋田県仙北市角館の「角館の祭り」、北海道札幌市の「YOSAKOIソーラン祭り」、秋田県秋田市の「土崎神明社の曳山まつり」、青森県八戸市の「八戸三社大祭」、青森県青森市の「青森ねぶた祭」、大阪府岸和田市の「岸和田のだんじり」である。しかし新型コロナウイルス感染症が流行したため、調査を予定した祭礼がすべて中止になった。 このため、当初予定していた研究テーマに基づく調査は実施できなかった。しかし、祭礼が中止に至る過程における議論や、中止に対する評価、祭礼に代わる代替行事の実施など、研究を推進する上で大変貴重な知見を得ることができた。このため令和2年度は、祭礼の中止が引き起こした事象について、当該地域の情報収集に務めるとともに、コロナ禍における祭礼の中止をめぐる経緯を記録・報告し、メンバーだけでなく他の研究者との情報交換に努め、学会発表等に積極的に参加して情報発信した(京都民俗学会オンライン例会「新型コロナウイルス感染症の各地の祭礼への影響について」2020年6月26日開催、など。令和3年6月にも日本生活学会での報告に加わる予定)。こうした知見の蓄積は、今後、祭礼が再開された際に「コロナ以前」「コロナ以後」の比較を明確にする意味でも重要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度は予定した調査と研究会をすべて順調に実施することができたが、令和2年度は調査を予定した祭礼がすべて中止になり、調査ができなかった。このため、情報収集において遅れが見られる。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行による中止という新たな事態が発生したため、祭礼を取り巻く状況を新たな角度から見直すことが可能になったと考えている。 令和3、4年度の調査において、これまでの遅れを挽回するとともに、新たな視点を加えた調査を行い、考察を深めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究によって明確になったのは以下の諸点であった。1)単一の祭礼だけではなく、複数の祭礼が相互に関係するような「祭礼文化圏」的な視点の重要性。2)近年の社会学分野で注目されている「文化遺産の社会学」や「歴史的環境の社会学」の知見と祭礼研究の比較検討、3)民俗学・社会学・文化人類学などの隣接領域における祭礼研究の理論的蓄積に関する比較研究。 以上3点を推進するため、祭礼が再開され次第、令和元年に調査を行った祭礼についての調査を継続する。また、新型コロナウイルスの影響により祭礼の中止を決定した過程を明らかにし、祭礼間の比較をするとともに、祭礼における祝祭性の意味を、「自粛」「中止」という、祝祭とは反対の観点から照射して明らかにしていきたい。 また、令和3年6月に、一部のメンバーが日本生活学会でのグループ報告に加わることが決まっているなど、他領域の研究者とも連携を深めながら研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行のため、調査を予定していた祭礼がすべて中止になり、今年度の旅費の多くは支出しなかった。また、感染症の蔓延を警戒して、研究会の開催を見送った。その分の調査と研究会は、令和3年度中に新型コロナウイルスの流行が収束すれば、その時点での実施を考えている。ただし、元々4年かけて実施する計画であるため、実施時期は現時点では未定である。
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