2019 Fiscal Year Research-status Report
「法の生成」の人類学:科学技術社会論・行動経済学・法哲学との接点から
Project/Area Number |
19K01231
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
高野 さやか 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (20586656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中空 萌 広島大学, 国際協力研究科, 講師 (60790706)
山崎 吾郎 大阪大学, COデザインセンター, 准教授 (20583991)
橋本 祐子 龍谷大学, 法学部, 教授 (80379495)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 法の生成 / 慣習法 / 科学技術社会論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者・分担者がそれぞれの領域で蓄積してきた知見を共有しながら、文献調査および現地調査(日本・インド・インドネシア)を行い、これまで法の人類学において周辺的と見なされてきた事例(法分野の国際協力、環境訴訟など)において、法が生成する具体的なプロセスを民族誌的にとらえる。また、特定の法律や慣習的規範などが発現するそのプロセスにおいて包摂されているもの、逆に排除されているものをも明らかにし、それぞれの事例を比較検討することを通じて、法をどのようにとらえるかについての新しい視座を提示することを試みる。 今年度の具体的な実績としては、当初の計画通り、研究代表者・分担者間の意見交換によって、本研究の問題設定を明確にし、それぞれ事例の分析に着手した。こうした作業を通じて、法と感情、自動運転技術といった問題系との関連についても新たに議論になった。国内での研究会は3回実施することができた(6月9日、10月20日、11月30日)。第1回は全体で、第2回・第3回はそれぞれ二人の発表者が途中経過について報告し、いずれも活発な議論が行われた。その成果は、関連領域の歴史ある国際学会であるCommission on Legal Pluralismのパネルに応募し(10月)、採択された。残念ながら新型コロナウィルスの感染拡大により一年の延期が決定してしまったが、改めて成果報告の場を確保する予定である。また、関連する先行研究を整理する論文を執筆した(現在査読中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国家法や慣習法といった既存のカテゴリーを前提とせず、それらの領域を作り出している装置や実践の積み重なりに注目することが、法や制度のありかたを民族誌的記述によって改めて問い直すことを可能にする。そしてこのことが、法と開発、およびナッジ/選択アーキテクチャ論といった法と関係する他の学問分野との対話につながる。以上のような、本研究が取り組む問題設定を、メンバー間でより明確に共有することができたため。また、Law and Research Development Networkなど関連分野の国際学会に参加し、情報共有および意見交換ができたことも研究の進展に寄与した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究会やフィールドワークの実施については現在明確な方針を設定することが難しいが、さまざまな手法でメンバー間のやりとりを継続することで、先行研究の検討および英語論文の執筆を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により、研究会およびフィールドワークについての計画を大きく変更せざるをえなかったため。今後も状況の変化に応じて、使用計画を見直していく。
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Research Products
(18 results)