2021 Fiscal Year Research-status Report
在豪日本人移住者の故郷概念の動態性―帰属意識における「日本」の位置づけの考察
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19K01236
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
長友 淳 関西学院大学, 国際学部, 教授 (50580643)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本人移民 / 移住 / オーストラリア / 中間層 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、新型コロナウィルス感染拡大およびオーストラリアの厳しい入国規制のため、予定していたフィールドワークを実施することができなかったが、関連テーマを広くとらえた上で、以下の3つの作業を行った。 第1に、日系/ニューカレドニア系オーストラリア人のインタビュー調査および歴史学的な調査を実施した。現代の移民のみならず、日系3世をも研究領域に入れた上で、日系3世が自らのルーツを探し始めるに至った経緯や帰属意識の変化について聞き取り調査や、渡航記録などの調査を実施した。この点に関する研究ノートを現在執筆中である。 第2に、2019-20年度に実施したクイーンズランド州南東部の日本人1世の支援を目的とした福祉組織に関するフィールドワークデータをもとに、転換期にある現地の日本人コミュニティに関する執筆を行い、22年度に丸善出版『オセアニア文化事典』および単著学術図書の一部として成果出版の予定である。 第3に、コロナ禍を踏まえて拡大した関連テーマに関する研究として、日本国内のIターン移住に関する研究も実施した。中間層の移動という点や、労働市場の流動性やライフスタイル価値観の変容という共通の要素を持つ現代のオーストラリアへの移住と日本国内のIターン移住の特徴を踏まえ、日本国内のIターン移住者や受入れ側自治体の担当者へのインタビュー、およびIターン移住先として人気の自治体のイメージに関する調査を行った。これらの研究成果は、単著学術図書の一部として出版計画中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オーストラリアにおけるフィールドワークを前提とした研究計画を組んでいたため、コロナ禍によってテーマや手法を再調整することが困難だったが、中間層の移動および帰属意識というテーマを広げた形で再設定することにより、フィールドワークを実施する調査地域やテーマの拡大につながった。これにより、22年度はこれまでの蓄積されたフィールドワークデータを活かして、研究成果としての学術図書出版にむけた見通しを立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍により、引き続きオーストラリアでのフィールドワークの実現可能性は低いため、拡大したテーマや調査地域(中間層の移動という点で日本国内のIターン移住も含む)におけるフィールドワークを引き続き実施する。また、それと並行して22年度末の学術図書出版を目標として原稿執筆を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、オーストラリアで予定していたフィールドワークが実施できなくなったため。研究成果公開のため、22年度の出版費用として使用予定。
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