2020 Fiscal Year Research-status Report
トランプ政権下アメリカの対テロ・犯罪政策とマイノリティ市民の自由に及ぼす影響
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19K01275
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
今野 健一 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (70272086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 早苗 仙台白百合女子大学, 人間学部, 教授 (90285685)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 警察活動 / 市民的自由 / ストップ・アンド・フリスク / 警察官装着カメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は研究の中間年度であり、特に、現地訪問を念頭に国内外の研究施設等での資料収集や視察等を予定していた。しかし、2020年初頭からの、新型コロナウイルス(Covid-19)感染症の拡大という未曾有の事態に直面し、基本的に移動を伴う研究活動の不能のやむなきに至った。また、本務校での教育等負担の著しい増加という影響を被った。こうして、当該年度に計画していた研究活動の目的を達すること能わず、最終年度以降への持ち越し部分が不可避的に生じる結果となった。 当該年度の研究については、主に文献等資料の収集と読解を行いつつ、新聞報道等により米国の政治と社会の現況を確認する形で進めることとした。本研究では、人種的マイノリティ市民に対する過剰で人権侵害的な警察の取締り活動――特にストップ・アンド・フリスク(stop-and-frisk)――の問題性に着目してきたが、この間も、アフリカ系やヒスパニック系市民に対する人種差別的な取締りが致命的な結果を招く事案が目についた。その筆頭が、ジョージ・フロイド(George Floyd)氏が警察官によって不適切に制圧され死亡するに至った事件(2020年5月)である。これを契機に、全米でブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter, BLM)運動が活性化され、自治体警察当局に改革を迫る社会的機運が高まった。BLM等の運動が、警察官装着カメラ(BWC)の導入など全米で進みつつある警察改革の動向に及ぼす影響が注目される。 折しも、米国政治は最近、トランプ政権の退場(2021年1月)という大きな変化を経験した。民主党のバイデン政権の発足により、トランプ政権下との比較で、米国の政治社会に如何なる変容がもたらされるか、特に人種差別的な警察活動の横行という状況が如何に掣肘されることになるのか、子細な検討が必要である。これは最終年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
幅広いリサーチに基づく研究資料収集計画の策定と収集作業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、現地訪問が困難となった点で、少々遅れが生じている。研究計画の全体的な遂行に重大な影響を及ぼすものではないが、引き続くコロナ禍で、どこまで挽回できるかは見通せないところがある。少なくとも、現時点では、これまで収集した研究資料の読解と分析を進め、着実に材料を蓄積することが肝要であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、研究目的に関連する文献・資料の収集に努めるとともに、それらの読解・分析に取り組む。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響を考慮すれば、移動を伴う研究の実行は困難な状況が続くであろうが、その場合でも、これまでの蓄積をもとに、一定の範囲で研究成果を取りまとめることも考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の世界的拡大の影響で、本務校での教育負担の著増という事情があったほか、国内外の研究機関の利用(旅費等)がかなわなかったこともあり、残額が生じる結果となった。次年度については、外国書籍等の入手をより計画的に行うとともに、新型コロナウイルス感染症の早期の収束が見通せないことから、状況に照らして臨機にかつ適切に使用するよう努めたい。
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