2021 Fiscal Year Research-status Report
トランプ政権下アメリカの対テロ・犯罪政策とマイノリティ市民の自由に及ぼす影響
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19K01275
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
今野 健一 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (70272086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 早苗 仙台白百合女子大学, 人間学部, 教授 (90285685)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 市民的自由 / 警察活動 / ブラック・ライブズ・マター / 犯罪率の上昇 / ヘイトクライム |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は研究の最終年度であったが、COVID-19のパンデミックが収まらず、昨年度に引き続き、外国はおろか国内でも、基本的に移動を伴う研究活動は控えざるを得ない状態が続いた。結局、当該年度に計画していた研究活動の目的を達することはかなわず、研究期間の延長を申請することとなった。 当該年度の研究では、文献等資料の収集と読解を行いつつ、新聞報道等により米国の政治と社会の現況を確認する形で進めることとした。当該年度に特に着目したのは、2つの要因で、ニューヨーク市におけるポリシング改革が被った影響の大きさであった。要因の1つは、2020年に本格化したCOVID-19のパンデミックによる影響である。もう1つは―こちらが特に重要だが―、2020年5月に発生したジョージ・フロイド(George Floyd)氏が警察官によって不適切に制圧され死亡した事件を契機に、全米で再活性化したブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter, BLM)運動の影響である。 ニューヨークの場合、これまでの研究で明らかにしたように、もともと人種差別的ポリシングの是正を求める動きは活発であり、BLMの抗議活動も大規模に行われたが、そのプロセスで市民と警察の間の信頼関係はいっそう損なわれる結果となった。さらに、BLMの抗議活動と踵を接して、パンデミック前には安定化していた治安が悪化し始めた。このような状況の中で、BLMで一度は盛んに叫ばれた警察の予算削減や規模縮小も、公共の安全(public safety)を求める声の高まりで、急速に色あせる傾向にある。これらを踏まえて、当該年度末に、ニューヨーク市でのBLMの抗議活動への対応を通じて明らかになったポリシングの新たな課題、同市のこの2年間の犯罪・治安の動向、そして、2021年市長選挙とポリシングの政治問題化について検討した論考をとりまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19のパンデミックが収まらず、昨年度に引き続き、外国訪問はおろか、国内でも基本的に移動を伴う研究活動は控えざるを得ない状態が続いたため。次年度への期間の延長を申請し承認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究目的に関連する文献・資料の収集に努めるとともに、それらの読解と分析にいっそう注力する。COVID-19のパンデミックの影響は、なかなか見通せないが、それでも文献等資料を活用して、一定の成果を取りまとめられるよう努めたい。
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Causes of Carryover |
COVID-19のパンデミックの影響で、国内外の研究機関の利用(旅費等)が困難となったこともあり、残額が生じた。延長が認められた次年度は、感染状況を見極めつつ、状況に照らして臨機にかつ適切に使用するよう努めたい。
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