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2022 Fiscal Year Research-status Report

近代国際法における主権観念成立史研究――現代国際法学の再構成のために

Research Project

Project/Area Number 19K01315
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

明石 欽司  九州大学, 法学研究院, 教授 (00288242)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 小栗 寛史  岡山大学, 社会文化科学学域, 講師 (80837419)
Project Period (FY) 2019-04-01 – 2024-03-31
Keywords国際法史 / 主権 / 国家主権
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、国際法学における主権概念の検討を定量的な観点から実施した。具体的には、本研究が検討対象とする時代に締結された諸条約を題材として、それら条約において「主権」とその類似概念がどのように規定されているかを明らかにし、それらを類型化することを試みた。
その結果として得られたのは次のような事実である。即ち、独仏間条約において「主権」が使用される例はナポレオン戦争期までの諸文書におけるものが多数を占め、ドイツ諸邦間の条約において「主権」が単独で使用される例は殆どがナポレオン戦争期中のものである。両者間の相異は、前者ではアンシャンレジーム期から用例が存在しているのに対して、後者ではナポレンオン戦争期中のみの用例が殆どである点にある。また、ヴィーン会議以後(同会議関連の諸条約を除く。)の文書に着目すると、独仏間条約における「主権」の用例は全て境界画定に関連するものであるのに対して、ドイツ諸邦間の条約では「支配権」観念の用例が引き続き登場している。以上のことから、独仏間条約における「主権」観念はアンシャンレジーム期からナポレオン戦争期まで多様な使用例が見られたのに対して、ヴィーン会議以後は境界画定条約という「領域主権」の観念と強く関係する文書の中で使用されるようになる傾向が看取された。そして、その間ドイツ諸邦間の条約においては帝国国制上の複数の「支配権」観念が使用され続けている。つまり、アンシャンレジーム期・ナポレオン戦争期の仏独間条約において「主権」は必ずしも単一の包括的観念として使用されておらず、ドイツ内ではフランス語の「主権」が19世紀後半に至るまで一般的に受容されてはいなかったと解される。そして、このことは19世紀後半に至るまでの「主権」観念の内実がフランス(語圏)とドイツ(語圏)の間で異なるものであったことを示しているという点を明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

史料収集や研究成果の公表のための海外出張が依然として制限的な状況であったため、当初の予定から遅れているといえる。

Strategy for Future Research Activity

昨年度が本来は最終年度であったが、上記の理由から研究の進展に遅れが生じているため、補助期間を1年間延長し、本来であれば昨年度実施する予定であった、これまでの研究成果の統合とその公表に向けて研究を進めていく。

Causes of Carryover

本来であれば史料収集と研究成果の途中経過報告とフィードバックを得るために海外に渡航する予定であったが、海外渡航が依然として制約を伴うものであったため、次年度に計画を後倒ししたことから次年度使用額が発生した。本来の予定通り、夏ごろに海外渡航をすることで、当初の研究計画に即した研究活動を遂行する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (3 results)

  • [Journal Article] ウェストファリア神話2023

    • Author(s)
      明石 欽司
    • Journal Title

      『主権国家と革命 15~18世紀』

      Volume: - Pages: -

  • [Journal Article] 条約における「主権」---独仏間とドイツ諸邦間の領域割譲・境界画定条約(1772―1871年)を題材として---2022

    • Author(s)
      明石 欽司
    • Journal Title

      国際法外交雑誌

      Volume: 121 Pages: 397-415

  • [Journal Article] 実証主義国際法学の確立過程における合意主義の系譜(三):オッペンハイムの共通の同意理論を中心に2022

    • Author(s)
      小栗 寛史
    • Journal Title

      岡山大学法学会雑誌

      Volume: 72 Pages: 1-87

URL: 

Published: 2023-12-25  

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