2021 Fiscal Year Research-status Report
企業グループにおける企業統治の健全性確保――少数派株主の権利強化を中心に――
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19K01371
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大川 済植 桃山学院大学, 法学部, 教授 (10382590)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 企業グループ / 企業統治の健全性 / 少数派株主の利益保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度では、2019年度採択科研課題(大川済植)「企業グループにおける企業統治の健全性確保」に関する研究課題について、次のような研究計画に従って研究を推し進めた。 この研究課題は、企業グループにおける親会社等の子会社等への不当な経営関与行為から子会社の少数派株主の利益保護および少数株主の権利強化に関する会社法・金融商品取引法上の諸問題について、比較法的研究を推進しようとするものである。2021年度前半では、2021年5月20日に提出した「研究実施状況報告書」に示した「今後の研究の推進方策」の内容に従い、2019年に採択された科研課題のうち、「企業グループにおける企業統治の健全性確保」に関する研究推進の3年目として、企業グループの運営・管理における子会社の少数派株主の利益を保護するための法理論に関する比較法的研究を推し進めた。 当該年度における研究では、法人取締役制度を認める英国法、および韓国法における親子会社規律に関する法理論についての情報収集にあたるとともに、収集した文献内容を精査しながら研究を推し進めた。その研究成果については、親会社は子会社の少数派株主に対していわゆる背後取締役としての責任を負うのか否かについて、2021年5月22日に開催された「関西商事法研究会」で個別研究報告を行った。 本研究の意義は、日本の会社法研究分野においてこれまでにみられなかった親子会社関係を規律する方法論として英国法や韓国法の裁判例を実証的に比較分析したうえで親子会社関係を規律する立法論を提案することにある。 これまで、これに関連する先行研究をみるに、本研究課題が推進する親会社等を規律するための法制度として背後取締役の責任に関する法理論と裁判例に関する実証分析は存しない。この点、本研究が推進する研究課題に関する研究成果は、学界・実務界に対して示唆を与える意義は大きいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度では、同年6月26日に提出した「研究実施状況報告書」に示した「研究実績の概要」のとおり、2019年に採択された科研課題(「企業グループにおける企業統治の健全性確保―少数派株主の権利強化を中心に―」)に関する研究推進の2年目として、当初の研究計画のとおりに順調に進展していたと思っている しかしながら当該科研課題に関する研究推進の3年目にあたる2021年度に入り、2020年度に引き続きコロナ感染感染拡大による教育・研究環境の急激な変化による影響を受け、当該科研課題に関する国内外の研究資料に関する情報収集、および研究調査を研究計画のとおりに推し進めることが困難であったため、当初の研究計画にやや遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に入っても、前述のようにコロナ感染拡大の状況が改善する兆しは見えておらず、研究課題に関する情報収集や研究資料の調査がほとんど推進できていない状況が続いている。そのため、2022年度の前半では、2021年前半までの研究成果について同年5月22日に開催された「関西商事法研究会」で報告した内容を基礎にした研究をより発展的に推し進め、その成果(「事実上の機関の法制の比較研究―事実上の機関の法理が日本の親子会社法制に与える示唆について(2)」)を学術雑誌に公表する予定である。 また2022年度は、当該研究課題に関する研究計画の最終年度にあたるものの、前述のように、当該科研課題に関する研究推進の3年目になる2021年度に入り、コロナ感染感染拡大による研究環境の急激な変化による影響を受け、2020年度に引き続き2021年度においても国内外の研究調査を研究計画のとおりに推し進めることが困難な状況であった。 そのため、2019年度に採択された科研課題のうち、最終年度に当たる2022年度の研究課題に係る研究計画の変更等に伴い補助事業期間の延長を申請する予定であり、引き続き2019年度採択研究課題のうち、企業グループにおける企業統治の健全性を確保するための研究テーマである「少数派株主の権利強化」に関する研究を推し進め、その研究成果を順次に学術雑誌に公表する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により、当初計画したとおりに科研課題に関する情報収集のための研究調査を行うことができず、当初予定していた使用額に差異が生じたためである。 前記の当該年度の所要額に過年度の未使用額98,947円を合わせた助成金については、本研究課題に関する情報収集や研究調査、および研究図書の購入費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)