企業グループにおける企業統治の健全性確保――少数派株主の権利強化を中心に――
Project/Area Number |
19K01371
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
|
Research Institution | Momoyama Gakuin University (2020-2022) Shimane University (2019) |
Principal Investigator |
大川 済植 桃山学院大学, 法学部, 教授 (10382590)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
|
Keywords | 企業グループ / 企業統治の健全性 / 少数派株主の利益保護 / 少数株主の権利強化 / 社外取締役の独立性確保 / 企業統治の健全性確保 / 系列子会社の利益保護 / 系列子会社の少数派株主の利益保護 / 親子会社 / 企業統治の適法性確保 / 少数派株主の権利強化 |
Outline of Research at the Start |
日本では、他の会社の事業を支配しつつ、独自の事業を展開する事業持株会社を中核とする企業グループが圧倒的に多いといわれる。このような企業グループにおいて、親会社等の支配的影響力を受ける子会社の少数派株主の権利強化を通じて企業統治の健全性を確保することは、立法上の重要な課題であると認識している。そこで本研究では、親会社等の利益侵害行為と少数派株主の利益保護、自己株式過剰保有と少数派株主の権利保護、株式買取請求権行使と公正な価額算定、機関投資家の行動規範などの少数派株主の権利強化に関する立法上の課題について、比較法的考察を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度では、2019年度採択科研課題に関する研究として、企業グループにおける子会社の少数派株主の利益保護、および、少数派株主のモニタリング強化に関する比較法的研究を推し進めた。 2022年度前半では、2021年5月25日に提出した「研究実施状況報告書」に示した「今後の研究の推進方策」の内容に従い、科研課題に関する研究を行った。その研究成果として、拙稿(大川済植「企業グループにおける企業統治の健全性の確保―子会社の少数派株主および債権者の利益保護に関する法制度上の諸問題を中心に―」『桃山法学』37号1ー47頁(2022年10月))を国立研究開発法人科学技術振興機構が運営する電子ジャーナル(以下「J-stage」という)に公開した。 また2022年度後半では、高橋英治教授との共同研究を行い、その研究成果(「高橋英治=大川済植「事実上の機関の法制の比較研究―事実上の機関の法理が日本の親子会社法制に与える示唆について(2・完)」『法学雑誌』桐山孝信・原田裕彦教授退任惜別記念号69巻3・4号206ー244頁(2023年3月))を公表(『法学雑誌』学術リポジトリにより公開される予定である)した。 前記の学術論文に対する研究成果の意義は、日本の会社法研究分野においてこれまでにみられなかった親子会社関係を規律する方法論として、ヨーロッパ大陸法(ドイツ法、スイス法)、EU法、英米法、日本法、韓国法の裁判例を実証的に比較分析したうえで親子会社関係を規律する立法論を提案したことにある。 これまで、科研課題に関連する先行研究をみるに、本科研課題が推進する親会社等を規律するための法制度に関する先進諸国の法理論と裁判例に関する比較法的分析、実証分析を行い、立法論的解決策を提案した学術論文は見当たらない。この点、科研課題に関する研究成果は、学界・実務界に対して示唆を与える意義は大きいと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に始まったコロナ感染症が、2021年度から拡大し続けていたため、当該科研課題に関する国内外の研究資料に関する情報収集、および研究調査活動を研究計画のとおりに推し進めることが非常に困難な状況が続いていたため、当初の研究計画およびその実行に対する軌道修正を行わざるを得なかった(なお過年度に関する研究成果については2020年度6月26日および2021年5月20日に提出した「研究実施状況報告書」を参照されたい)。 2021年度では、かかるコロナ禍による研究環境への影響の下で修正した研究計画にやや遅れが出ていたものの、2022年5月25日に提出した「研究実施状況報告書」に示した「研究実績の概要」のとおり、親子会社間の自己取引において自己または第三者の利益を追求した親会社等が子会社の少数派株主に対して責任を負うべきとする法理論に関する比較法的研究を進め、科研課題に関する研究成果の一部として2021年5月23日にオンラインで開催された「関西商事法研究会」にて「事実上の機関の法制の比較研究―事実上の機関の法理が日本の親子会社法制に与える示唆について―(2)」という題名で個別研究成果について報告することができた。 2022年度では、2023年5月頃に提出する予定である「研究実施状況報告書」に示した「研究実績の概要」のとおり、前記の関西商事法研究会で個別研究報告を行った内容をさらに深化させる研究を進めることによって、2本の学術論文を科研課題に関する研究成果としてJ-stageなどに公開することができたので、コロナ感染症拡大後に軌道修正された科研課題に関する研究計画のとおりにおおむね順調に進展していると評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍による影響を受けて国内外での研究調査を実施することが困難な状況が続いていたものの、2023年度に入り新型コロナ感染症も落ち着きを見せ始めたので、2023年度の前半では海外現地研究調査(4月28日から5月2日まで)を実施することができた。 この研究調査の期間においては、韓国ソウルに所在する国会図書館にて「少数株主の権利強化」に関する研究資料を収集できる有益な研究調査活動を行った。今般の海外研究調査を通じて、①企業グループにおける系列子会社の少数派株主が直面する主な課題は何なのか、②グループ企業を指揮監督する地位にある親会社等の公正かつ公平な意思決定を確保するためには系列子会社の少数株主の権利を効果的に強化する必要がある、という問題意識をもって学術論文などの既存の文献を収集する活動を行った。 その後、これらの文献を広範に精査し、企業グループの企業統治における系列子会社の少数株主が直面する課題について洞察する研究活動を行ってきた。これらの研究活動を通じて得られた研究内容については、関西商事法研究会(開催日(5月27日))にて「企業グループにおける企業統治の健全性確保―親会社の子会社に対する会計帳簿閲覧権の行使要件を中心に―」という題名で研究報告を行う予定である。 2023年度の後半では、前記の研究会での質疑応答を通じて得られた問題点については、さらに研究を発展的に進める。すなわち系列子会社の少数派株主に与えられる保護レベルの違いを把握するべく、特に親会社等の権限濫用行為の立証のために必要な少数株主の会計帳簿閲覧請求権に関する研究資料を収集するために、英国や米国の国会図書館などでの研究調査活動を行う予定である。その後、科研課題に関する研究活動を通じて得られた研究成果として、少数株主の権利を強化するための効果的な法的枠組みを提案する学術論文の執筆を行い、順次にJ-stageに公開する予定である。
|
Report
(4 results)
Research Products
(12 results)