2022 Fiscal Year Research-status Report
組織再編取引における利害調整のあり方と取締役の責任
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19K01382
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
永江 亘 南山大学, 法務研究科, 准教授 (20610786)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 会社法 / 取締役の責任 / 組織再編 / 損害賠償 / Fairness Opinion / Fainess Opinionn提供者の責任 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画 「(3)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」欄の「(C)2010年代以降の株主総会による承認によるいわゆる”Cleansing”に係る判例理論及び学説の議論を検証する、(D)情報開示規制を有効にするために、米国の情報開示規制を再度検証し、わが国の情報開示制度においてより有益なフォームを構築することが可能であるかを検証し、(E)取締役の責任の議論を通じて、わが国と米国におけるFO提供者の位置付けと法的責任について検証する」に着手した。(C)については、前年度の積み残しを踏まえて、判例レビューを行った。 前年度の積み残しを踏まえ、(C)においては、Gorwin/MFW判決以降の判例基準の精緻化という文脈で複数の判例のレビューを行った。これらの成果については、MFW基準における支配株主と買収先との当初合意の時期など、MFW基準の具体的な内容に係る米国デラウェア州判例の議論があったため、具体的な判例を検討することとした。これらについては、本年度中に成果論文を公刊する予定である。 (E)についても、(i)FO提供者に係る責任の文脈の取りまとめを行ない、(ii)取締役の責任の議論についての、研究成果との整合性を検討しながら、本年度中に成果論文を公表したい。(i)については、これまでの研究を踏まえ、不法行為・代理・信認理論による責任追及への変遷を明確にしながら、信認理論に係る教唆・幇助責任の文脈で取締役の義務との関係を整理した。 これらの研究成果の公表は媒体の関係もあって、次年度中に公刊予定である。 もっとも、前年度までの遅れが影響し、研究計画全体がやや遅れている感は否めない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍を経て、進捗が遅れているところを完全に取り戻せてはいない状況にある。また、海外渡航が制限されていることから、当初予定していたインタビュー・資料蒐集について満足のいく状況にない点が影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究計画の進捗状況に照らし、適宜、研究計画の延長等を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、旅費支払い等に変更が生じ、これにより、設備購入等の計画についても、一時保留としたため。
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