2022 Fiscal Year Annual Research Report
情報保護法制における人格的利益の保護に関する基礎的考察
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19K01415
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
蘆立 順美 東北大学, 法学研究科, 教授 (60282092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成瀬 幸典 東北大学, 法学研究科, 教授 (20241507)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 著作者人格権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、情報保護法制における人格的利益の保護について、著作者人格権を主たる素材としつつ、名誉毀損罪等に関する刑法分野における人格権に対する罪の議論の検討から得られる知見をも併せ考慮して、その基本的原理を検討するものである。 本年度は、前年度までに調査・分析を進めてきた氏名表示権及び公表権に関する検討を整理した。また、商標法分野において、自己の氏名に関する商標登録要件の緩和について議論が活発化し、令和3年5月に法改正案が閣議決定されたことから、標識法における人格的利益の保護にかかる議論も新たに調査対象に含めた。 著作者人格権については、著作者の決定権として、広範な保護範囲が認められているが、上記の関連法における議論との比較の観点から、他者の表現や創作活動にかかる利益、情報流通の確保等と、対立する利益との調整の観点から、限定的に保護範囲を解釈することの妥当性等を中心に検討を行った。また、刑法分野に関しては、令和4年の侮辱罪の法定刑改正を巡る議論を主たる素材として、刑罰による保護に値する人格的利益の本質に関する検討を行った。特に、正当な論評活動等の表現の自由と、論評活動等により毀損される可能性のある人格的利益の保護の調整の在り方について、名誉毀損罪に関する従来の議論を含め、整理・検討を行った。表現の自由と人格的利益の保護の調整に関する刑法上の議論が、どのような形で著作者人格権の保護の在り方に影響を及ぼしうるかについて、研究代表者と研究分担者の間で、頻繁に、意見交換を行った。
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Research Products
(2 results)