2022 Fiscal Year Research-status Report
A Legal Study on the Multilayer Structure of the Right to Enjoy One's Own Culture
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19K01433
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Research Institution | Keiwa College |
Principal Investigator |
藤本 晃嗣 敬和学園大学, 人文学部, 准教授 (90379157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 民徒 関西学院大学, 法学部, 教授 (10401019)
桐山 孝信 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (30214919)
西片 聡哉 京都先端科学大学, 経済経営学部, 教授 (60434651)
谷口 洋幸 青山学院大学, 法学部, 教授 (90468843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 文化享有権 / マイノリティ(少数者) / 先住民族 / 二風谷ダム訴訟札幌地裁判決 / 権利の集団性 |
Outline of Annual Research Achievements |
自由権規約27条が定める文化享有権は、多種多様なマイノリティ集団の存在を背景に、享有主体の差異に応じて権利の内実が異なる多層性を特徴としている。そして、国際社会全体において、また各地域において変動するマジョリティとマイノリティとの関係に位置付けて、文化享有権自体の発展可能性が把握されなければならない。こうしたことを念頭に置いて、当該年度は、文化享有権の歴史的発展を、①権利の由来、②権利概念の伸長、③権利救済の展開の三点から分析することとした。具体的には、①については、ヨーロッパ人権条約の歴史的過程における少数者の権利の集団性の承認や自由主義的人権間の普遍性を問い、②については、ユネスコを中心として発展してきた文化多様性保障の動向と文化享有権の関係性を問い、③については、自由権規約27条に関する国内外の先例の蓄積を念頭に置きながら、歴史的な植民地化の不正義に対する是正(redress)が文化享有権にどの程度託されているのかを問う。こうした視点にたって、3回の本科研メンバーでの研究会を実施した。その研究成果を、京都大学での国際法研究会(2022年7月)で報告し、国際法学会の公募分科会 C「国際法上の文化享有権の歴史的定位─二風谷ダム訴訟判決から四半世紀」(座長:中央大学教授小坂田裕子)と題したパネル報告(同年9月)で、下記のように公開することができた。 1 ヨーロッパ人権条約における文化多様性の保障 京都先端科学大学教授 西片 聡哉 2 文化享有権の現在と未来 敬和学園大学准教授 藤本 晃嗣 3 二風谷ダム訴訟に見る文化享有権の多層性 関西学院大学教授 齋藤 民徒 4 コメント 弘前大学助教 山下 梓
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の公表として、一般向けのパネル報告会をそもそも企画していたが、それを国際法学会に場を移して行うことで、より専門的な角度からの指摘や批判を受けることができ、研究の質を高めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
文化享有権に関するこれまでの研究成果を、論文集としてまとめて、公表することを予定している。
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Causes of Carryover |
研究期間がコロナ禍と研究代表者の育児期間と重なったため。科研費のほとんどは、本研究成果をまとめた論文冊子の作成のために使用する計画である。
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Research Products
(21 results)