2023 Fiscal Year Research-status Report
A Legal Study on the Multilayer Structure of the Right to Enjoy One's Own Culture
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19K01433
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Research Institution | Keiwa College |
Principal Investigator |
藤本 晃嗣 敬和学園大学, 人文学部, 准教授 (90379157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 民徒 関西学院大学, 法学部, 教授 (10401019) [Withdrawn]
桐山 孝信 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (30214919) [Withdrawn]
西片 聡哉 京都先端科学大学, 経済経営学部, 教授 (60434651)
谷口 洋幸 青山学院大学, 法学部, 教授 (90468843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 文化享有権 / マイノリティ(少数者) / 先住民族 / 二風谷ダム訴訟札幌地裁判決 / 権利の多層性 / セトラー・コロニアリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、自由権規約27条が保障する文化享有権の主要な享有主体である先住民族の権利の多層性に関して、理論的に深めることに注力することができた。具体的には、先住民族の権利を検討する起点は、先住民族が被ってきた「歴史的不正義」であるセトラー・コロニアリズムが、過去のものではなく現在においても継続していているという視点であることを明らかにした。その上で、先住民族の権利を次のように多層的に捉えられるとの結論に至った。すなわち、①歴史的に先住民族の権利を捉えていくこと、②先住民族に認められる一つの権利は他の権利と不可分の関係にあること、③先住民族権利を捉える際の視点や立場が複数あること、④先住民族の権利実現のメカニズムを多層的にとらえることである。いずれの結論も、セトラー・コロニアリズムの遺制をどのように克服できるのかという論点を意識している。そのため、本研究は、セトラー・コロニアリズムの正当性を担保してきた国民国家の存在を前提とする国際法のありかたを問い直そうとしている。 なお、研究会を次のように開くことができ、マイノリティの文化享有権について理解を深めることができた。 2023年8月18日、安藤由香里「補完的保護・子ども最善の利益原則を中心に」於成城大学 2024年1月25日、小坂田裕子「国際人権法における先住民族女性の権利の新展開-先住民族フェミニズム躍動の成果と課題」、浦山聖子「先住権の規範的根拠とその含意――集団的自己統治の回復」、斎藤民徒「先住民族の権利の国内『適用』――日本の司法には何が求められているか」、藤本晃嗣「先住民族の権利の多層性を検討する意義」於Zoom会議 2024年3月28日、高崎理子「カンサード・トリンダーデ判事の提唱する『霊的損害』概念の意義と課題」於中央大学
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のタイトルである権利の「多層性」の検討を具体的に深めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
先住民族の権利の多層性についての研究実績を、24年9月にシンポジウムを開くことで公開する。また、研究分担者を中心としたマイノリティの文化享有権に関する研究をまとめたものを、論文集として編む予定である。
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Causes of Carryover |
次年度は、シンポジウムの実施(9月)と、研究分担者を中心に文化享有権に関する論文集を編む(1月)予定である。
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Research Products
(18 results)