2021 Fiscal Year Research-status Report
An approach to the fiscal sustainability of local government: Mechanisms of local tax survival
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19K01445
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
久保 慶明 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (00619687)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 税制 / 地方財政 / 持続可能性 / 公共政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究では「自治体財政の持続可能性を高める条件」を示すことを目的として「どのような場合に地方税制は存続するか」という問いの解明にとりくむ。少子高齢化や人口減少が進むなかで財政の持続可能性を高めるには、政治的に困難な合意形成を経た社会保障制度や租税制度の確実な実施が求められる。この研究が注目する税制の場合、納税・徴税義務者から理解や協力を得られれば税制は安定化して存続するが、得られなければ税制は不安定化して廃止に向かう。その分岐を解明するため、この研究では、日本の地方自治体が時限的に導入した税制が、更新され存続してきたことに着目し、質的調査と量的調査を用いた多角的な比較分析をおこなう。 2021年度は、前年度に引き続き米国に滞在して在外研究にあたることになったため、当初計画を変更して2つの作業をおこなった。第一に、本研究が対象とするエリートと有権者に関して、経済的不平等に関する認知が税制や社会保障への態度に与える影響についての研究成果を公刊した。具体的には、政治家の集団的な特性、財政規律と経済成長に関する態度が、不平等認知の影響を条件づけていることを明らかにした。第二に、社会心理的な要因が税制に関する態度を規定するメカニズムに関する検討を進めた。具体的には、コロナ禍で生じた海外渡航者への態度が健康証明書によって緩和されることを明らかにした。また、日本の生活保護を事例としたサーベイ実験に関するセミナーで討論者を務めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外における研究滞在の影響により、本研究課題の遂行を一時的に中断することになった(中断期間は1年未満)。その一方で、本研究課題と密接に関わる主題に関する分析を通じて、地方税制の存続メカニズムの分析に応用可能な知見を得ることができたため、上記の区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに明らかになった知見を踏まえて、次年度以降、調査を実施していく。なお、在外研究の影響で研究遂行を一時的に中断したため(中断期間は1年未満)、補助事業期間延長の承認申請を予定している。
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Causes of Carryover |
在外研究の影響で研究遂行を一時的に中断し(中断期間は1年未満)、当初計画していたアンケート調査を実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。アンケート調査の準備および実施費用として、次年度に使用する予定である。
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Research Products
(10 results)