2020 Fiscal Year Research-status Report
地方自治体における幹部職員選抜制度の実態とそれが自治体に与える影響の研究
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19K01471
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松並 潤 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (70268217)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 係長試験 / 内部昇進 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の2020年1月に郵送で配布した、47都道府県・20政令指定都市人事委員会への「係長試験」に関するアンケートの結果を分析した。その結果、これまで事例研究に基づき、あるいは過去のアンケート調査の結果として先行研究において言われていた下記のようなことが、現在もおおむね妥当することが確認できた。 ・都道府県において「係長試験」を実施しているのはごく少数の自治体にとどまる。今回のアンケートと調査で「係長試験」の実施を確認できたのは、47都道府県のうち東京都と大阪府のみである(複数の廃止例の確認もできた)。 ・市町村レベルでは、人口の多い自治体ほど「係長試験」を実施する傾向にある。20政令指定都市のうち、今回のアンケートと調査で「係長試験」の実施を確認できたのは、12政令指定都市である(神戸市が2018年度に廃止)。
今回のアンケートと調査の結果は、アンケート回答用紙書式も含めて、「自己学習と選択 -地方自治体における「係長試験」の意味-」と題する論文にまとめて、2020年度中に『立命館大学 政策科学』(第28巻第3号、313ページ~325ページ)に公表することができた。この論文では、アンケートと調査の結果に加えて、「係長試験」実施の有無と、将来の都道府県庁・市役所幹部の選抜(そのような人材の公務員としてのキャリアに、庁内全体を見渡すことのできる人事・財務・企画(人財企)での勤務を組み込む)との関係についても考察を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の研究期間のうち2年間が経過したが、アンケートの実施と論文執筆による分析結果の公表(日本国内)を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2021年度においては、分析をさらに進めるとともに、COVID-19により海外渡航には制約があるものの国際学会等での報告も目指し、また改めて公務員の能力向上・モティベーションアップとの関係を理論的に検討したい。
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Causes of Carryover |
2020年度においては、大学における公務等とCOVID-19により、東京等遠方で研究する研究者との意見交換、国内外の学会への参加、ヒアリング調査等いすれも大きく制約を受けて行うことがほとんどできず、次年度使用額が生じた。これについては、本年度の助成金と合わせて執行する予定である。
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Research Products
(2 results)