2019 Fiscal Year Research-status Report
on Refugee Protection Policy
Project/Area Number |
19K01523
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小林 誉明 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (00384165)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 難民 / 社会 / ホストコミュニティ / 開発援助 / 人道支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、基礎的な情報および知見の収集および習得に力点を置いた。まずは、必要となる文献を揃えた上で、文献サーベイを実施、自らの仮説を精緻化していった。調査対象国の再検討も行った。 その上で、難民を「送り出す側」の事情や制約条件を知ることを目的として、ロヒンギャ難民を「送り出す側」のミャンマーでの調査を実施した。ミャンマーを選んだ理由は、中東地域のケースにおいては目下も紛争が継続中であるシリアやイラク、アフガニスタン等への入国が不可能であるからである。ミャンマーにおいても、ラカイン州の現地までは入ることができないため、首都ヤンゴンにてラカイン州出身のラカイン族(仏教徒)の研究者から、情報収集をした。また、ミャンマーにおけるマジョリティであるビルマ族(仏教徒)側がロヒンギャに対して感じてる認識について、各方面から聴き取りを行った。その結果、ロヒンギャはミャンマーにおいては民族として公式に認められてはおらず、市民権(ピンクカード)も付与されていない現実が、あらためて明らかとなった。一方、海外に流出したヒンギャ難民としては、ミャンマー政府が「ロヒンギャ」と認めない限り戻らないといっており、再統合の困難さを理解した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記のような基礎情報を足がかりとして、机上調査を進めてきたが、一方で、本来の直接のターゲットは、難民の「受け入れ側」の国である。この受け入れ側のフィールド調査として、もともとヨルダンとトルコへの渡航を3月に予定していたものの、コロナウィルスの蔓延の時期と重なったため、渡航を断念した。その結果、本来のターゲットである「受け入れ側」の現地調査はできていない状況である。データがとれない以上、その分析を進めることができてないというのが現状となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現地調査によるデータ収集が肝となる本研究の進捗は、2020年度における渡航の可能性が左右するため、この点を懸念している。もしも、夏期の渡航の可能性が低い場合、よりデータに基づかない、理論的な研究の方向性を模索必要があろう。場合によって、研究年度の延長を申請する必要もでてくるかもしれないと考えている。いずれにしても、COVID-19をめぐる状況次第であり、しばらく様子を見守るしかない。
|
Causes of Carryover |
大きな差額がでたのは、2019年度に予定していた海外渡航調査が中止(コロナウィルス渦のため)になったことによる。旅費に加えて、現地での調査謝金等も支出しなくなったため、大幅な残がでてしまった。これらは、コロナウィルスの落ち着く状況をみて、もしも2020年度に渡航が可能なら、旅費として充当するが、状況次第では2021年度に回すことも考えられる。
|