2020 Fiscal Year Research-status Report
Strong Effects of Weak Norms: Civilian Control in Japan and Germany
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19K01527
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
阿部 悠貴 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (70588665)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 国際関係論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は文献講読に専念し、特に理論部分の考察を深めることに集中して研究を行ってきた。その成果は研究ノートとして出版することができた(「国際関係論における規範研究の進展 : 規範の受容、論争、消滅をめぐる議論を中心に」『熊本法学』第150号、2020年、1-35ページ)。この研究ノートでは国際関係論において規範が着目されるようになった初期のころの研究例から、現在行われている「規範の論争」というテーマに関する研究例までを包括的にレビューし、今後の研究課題について整理した。 これに加えて、A.ヴィーナー、L.ツィマーマン、B.ジョーズの文献を取り上げた書評論文を執筆し、今後、学会誌に投稿する予定である。いずれの著者も「規範の論争」に関する研究書を執筆しており、それぞれの特徴を掘り下げて考察した。またこの書評論文を執筆するために、多くの関連文献を講読してきた。上記の研究ノートの成果と合わせて、幅広い知識を得ることができたのではないかと考えている。この過程で得られた考察は、本研究の理論的枠組みを構築する上で貴重な蓄積となった。 また事例研究に関して、ドイツの安全保障政策に関する書評を執筆し、その成果を発表することができた(「書評 『ドイツの核保有問題 : 敗戦からNPT加盟,脱原子力まで』[津崎直人著]」『ドイツ研究』第54号、2020年、89-92ページ)。 このほか日本、ドイツの再軍備に関する文献を渉猟してきた。今後、理論的考察と合わせて、いくつかの論文としてまとめていきたい。この段階まで到達できたことは大きな成果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
何よりも大きな問題となったのが新型コロナウィルスの影響でフィールドワークが実施できなかったことである。本来ならば2020年度の夏にドイツにて調査を行う予定であったが、この時の渡航は延期せざるを得なかった。その後、同年度3月にもドイツへの渡航を試みたが、この時もキャンセルを強いられる結果となった。 2021年度は研究代表者の在外研究期間と重なるため(10月開始予定)、この時に現地での資料収集、インタビュー調査を集中的に行いたい。ドイツに研究拠点を確保できるため、余裕をもって行えるのではないかと考えている。そのためにも何としてでも渡航したいところである。 確かに新型コロナウィルスの影響によって行動を制約されることにはなったが、この間に理論部分の考察に専念することができたのは大きな成果であった。また事例研究に関する文献も読み進めることができ、研究の全体像を構成する上で成果が多かった。 以上のことから判断し、「(2)おおむね順調に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は本研究の最終年となる。上記でも触れたが、同年度の10月から在外研究でドイツに滞在する予定であるため、昨年度できなかったフィールドワークを実施する計画である。 また渡航前までの期間に事例研究の考察を深めておきたい。そのために必要な文献を購入し、日本とドイツのシビリアン・コントロールの違いが生じた歴史的背景に関する論文を執筆する予定である。
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Causes of Carryover |
本来、2020年度にドイツにてフィールドワークを実施する予定でいたが、新型コロナウィルスの影響で実施することができなかったため。
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Research Products
(2 results)