2019 Fiscal Year Research-status Report
Disaster impact analysis on natural resource market
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19K01623
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山本 雅資 富山大学, 学術研究部社会科学系, 教授 (30458947)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自然資源 / 災害 / 回帰不連続デザイン / 水産資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自然資源市場における災害のインパクトを測ることを目的としているが、その第一歩として、東日本大震災に関連した新聞報道の水産卸売市場における影響をターゲットとした。今年度は、日本全国の中央卸売市場にコンタクトし、日次データの記録を公開可能と回答した7つの中央卸売市場からデータを入手した。これらのデータはフォーマットが統一されていないため、データの整理に多くの時間を費やした。
東日本大震災の直後では、新聞等により、震災の情報、特に福島第一原子力発電所関連の情報が伝わることで、水産卸売市場においてネガティブな反応がみられたと考えられる。その後、一定の期間が経過し、新聞報道においても安全性を強調する報道がメインとなったが、そのことが市場にポジティブにとらえられているかどうかについて検証をおこなった。
具体的な分析は以下のとおりである。震災から一定の年数が経過した2015年以降において、大手4社の新聞報道により震災関連の記事が掲載されたタイミング(多くの場合、食の安全性を強調する記事)において、整理した日次データがその前後でどのような動きを見せるかを、regression discontinuity designの考え方を使って分析した。水産資源には旬の時期等により大きな価格差があるが、1週間程度の期間であれば、大きなインパクトをもった報道以外は一定と考えられると仮定している。1次的に分析結果において、必ずしも良いニュースがあることが市場に良い反応(価格上昇等)をもたらすことは確認できず、場合によっては価格が低下することもみられることが明らかになった。本分析結果は、水産資源の研究が盛んなUniversity of Southern DenmarkのDepartment seminarにおいて、報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析ターゲットとして水産卸売データを選択し、データ収集を終了し、基本的な分析を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
水産資源に関する研究は北欧で盛んであるため、今年度は、University of Southern Denmarkにおいて、研究報告を行い、多くの貴重な示唆を得ることができた。この際に、イベントとしての大手4社による新聞における記事での取り扱いについて、多くの質問を受けた。新聞よりもテレビの方がインパクトがあるという件もあったが、過去の放送情報へのアクセスという点で実現が難しい。一方で、社会的に大きなインパクトをもったという意味ではSNS上での話題性の高まりの方が良いのではないかというコメントをいただいた。この点にはついては、これまで検討していなかったので、Twitterを中心にSNSの過去情報について、どのように取得可能であるかを今後検討し、分析のブラッシュアップをはかっていきたい。
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Causes of Carryover |
国内出張を一部キャンセルしたため次年度使用額が生じたが、2020年度後半の実施で調整している。
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Research Products
(2 results)