2020 Fiscal Year Research-status Report
Disaster impact analysis on natural resource market
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19K01623
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山本 雅資 富山大学, 学術研究部社会科学系, 教授 (30458947)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自然資源 / 回帰不連続デザイン / COVID19 / 水産卸売市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では自然災害の自然資源市場への影響を分析することが目的であるが、申請時は地震や台風等による被害を想定していた。しかしながら今年度世界中に影響を与えたコロナウィルスのパンデミックを目の当たりにし、その自然資源市場への影響を分析することとした。2019年末に中国武漢にて初めて確認され、2020年に入り世界中に広まった新型コロナウィルス感染症は我々の日常生活を一変させた。短期的にはロックダウン等の強制的な措置や自粛生活の影響を受けて、経済活動は大きく落ち込んでいる。今年度の研究では、経済活動のうち、豊洲市場の水産資源の消費に注目して、新型コロナウィルス感染症の影響がどの程度のインパクトがあったかを実証的に計測し、我が国水産業へのインプリケーションを論じた。
本研究は、Hausman and Rapson (2018)がRegression Discontinuity Design in Time (=RDiT)と呼ぶ手法を用いて、新型コロナウィルス感染症の影響を測っている。具体的には、running variableについて、緊急事態宣言が東京に発令された日をゼロと基準化したcutoff pointとして、sharp regression discontinuity designでATTを計測している。 分析に用いたデータは豊洲市場における日次データ(魚種別の毎日のセリの平均値を高値・中値・低値などに分けて記録)である。対象とした魚種は、3月から5月に十分な取引量があり、比較的高価なものとした。具体的には、マグロ(生鮮・冷凍)、マダイ、キンメダイ、クルマエビについて分析を行った。
分析の結果、新型コロナウィルス感染症は13-65%のマイナスという非常に大きな価格変化をもたらしたことがわかった。ただし、量の変化については有意な変化は見られず、資源の過剰利用についての示唆は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画を提出した際に想定していた自然災害は地震や水害等なので、当初の想定とは異なるものの、コロナウィルスによるパンデミックが自然資源市場へ与えた影響を因果推論の枠組みで分析することができた。データ収集のシステム構築に時間を費やしたが、論文の形に取りまとめることができ、学会発表を行うところまできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
豊洲の水産卸売市場におけるCOVID19の影響を分析した論文については、2020年度の学会報告で得られたコメントに基づいて修正を行い、国際学術誌へ投稿することを目指す。また、東日本大震災からの復興に関する新聞報道が水産市場に与える影響についての論文は2019年度における報告で新聞よりもSNS情報の方が適切な介入になるのではないかというコメントを受けていたがデータ制約から踏み出せずにいた。ところが一部のSNSで本年になってデータ提供の方針が変更となったため、あらためてSNSによる影響が分析できるかどうかについて検討を行う。
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Causes of Carryover |
コロナウィルの影響で当初想定していた今年度の海外の学会での報告ができず、旅費が大幅に減少したため、次年度使用額が生じた。条件が整えば令和3年度にあらためて国際学会にて報告を行いたい。また、オンライン開催となることも想定して、PC関連機器の充実も合わせて進めていく予定である。
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