2019 Fiscal Year Research-status Report
経済成長と社会厚生の最大化のための課税政策ー高次元多目的最適化法による検討ー
Project/Area Number |
19K01641
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
土居 潤子 関西大学, 経済学部, 教授 (00367947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 芳将 立命館大学, 経済学部, 教授 (90572975)
花田 良子 関西大学, システム理工学部, 准教授 (30511711)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 異質性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、経済成長や社会厚生を最大にするような課税政策を提示することである。様々な経済政策に対するこれまでの理論的な結論は、従来の経済分析で用いられてきた様々な仮定に依存していることが多い。このため、こうした仮定にとらわれない関数を用いたモデルで分析を行うことができれば、課税政策の結論もこれまでとは異なるのではないかと考えられる。 本年度は、最新の研究状況を把握するため、経済成長や最適課税に関する文献の調査を行った。また、消費者の行動について理解を深めるため、行動経済学の文献について検討した。様々な要素をどのように関数形に取り込むべきかについては、まだ、検討の余地があり、引き続き関連文献の調査を行う必要がある。 同時に、これまでに定式化を終えたモデル(企業はそれぞれの生産性をもち、企業のロビー活動と失業を明示的に示した経済モデル)を用いて、社会厚生や雇用者数などについて数値的に示すためのアルゴリズムの開発を試みた。本モデルでの検討は、今後の研究において、解を得るために必要なアルゴリズムを構築するための初期段階と位置付けられる。本研究により、ロビー活動をどのようにとらえるか、すなわち、ロビーの定式化によって、経済全体の雇用と賃金に与える影響が異なるため、そのどちらの効果が大きいかによって、厚生に与える影響が異なることが明らかになった。これは、研究ノート「企業の異質性、失業が存在する経済におけるロビー活動の影響-最適関税政策の構築を目指して-」としてまとめ発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度検討したモデルは、多くの要素を取り入れたため複雑となり、(妥当な)解を得ることができるパラメータ範囲が限定されてしまい、数値解を得ることが大変困難であった。また、理論的な予想と、数値解が異なることもあり、理論部分に誤りがないかどうかの検討、アルゴリズムの再構築などに予想外に多大な時間を費やした。しかしながら、これらの経験の積み重ねが、研究の推進には必要であると考えており、これらを糧として徐々にスムーズに研究を進めることができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
関連する先行研究の調査を進め、構築したモデルに関して、コンピュータを用いて数値解を示し、問題点を明らかにする。その上で、モデルの修正(関数形の模索等)、解の探索という作業を繰り返すことにより研究を進める。分担者と議論を行い研究の進捗状況を確認し、問題点を共有することで研究を推進していくことができる。また、国内外での状況が可能となれば、学会・研究会等への参加や報告を通じて、新しい知見を得たり、問題点をより早く見つけ、改善していくことで、研究を推進していくことが可能であると考えている。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国際学会に参加できなくなったため、次年度使用額が生じた。2020年度も国内外の状況により、国際学会のみならず、国内で開催される学会や研究会もオンライン等での開催が考えられるため、使途に制約が多いと考えられるが、完成した論文の英文校正等に使用するなどを計画している。
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Research Products
(4 results)