2023 Fiscal Year Research-status Report
北欧におけるイノベーション政策の刷新とそのミクロ的基礎としての触媒組織・人材
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19K01650
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
徳丸 宜穂 関西大学, 政策創造学部, 教授 (00387656)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | イノベーション公共空間 / イノベーション政策 / 産業構造転換 / 北欧モデル / フィンランド |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の研究を実施した. (1)フィンランドの地方自治体に対して実施した質問紙調査に基づいて,「イノベーションの公共調達(PPI)」にかかわる中間組織による触媒効果に関する定量的分析を行った.PPIは,本研究課題が着目する「ミッション指向型イノベーション政策」の代表的な政策手段の一つである.その成果を国際学会(Society for the Advancement of Socio-Economics)で発表し,論文完成に向けたフィードバックを得ることができた.(2)フィンランドにおける新しい「イノベーション・エコシステム」政策に関する現地調査を実施した.これにより,以前の施策(6Aika)からどのように政策が変化しているのか,その大枠を理解することができた.(3)ヘルシンキ及びオウルにおける,ヘルスケア・デジタル化と教育のデジタル化にかかわる産業振興施策にかんする聞き取り調査を実施した.地域レベルでのいわゆる「エコシステム」と,そこでの中間組織の役割について,解明を進めることができた.(4)フィンランドにおける地域産業振興組織向けの質問紙調査のための予備調査を実施した.(5)2010年以降,フィンランド政府のイノベーション政策がどのように変化してきているのかに関して,雇用経済省やBusiness Finlandの担当者に対する聞き取り調査を実施した. 以上で得られた知見によって,中間組織の多様な実態と触媒効果の構造に対する理解が進み,質問紙調査を実施する準備を整えることができたと考える.また,追加的な聞き取り調査で明らかにするべき論点も明確化させることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため,また政権交代により当初予期しなかった事態が生じたために,質問紙調査の計画が遅れていることが最大の理由である.またこれには,新たに得られた知見に基づいて検討した場合に,聞き取り調査に比べて質問紙調査が本当に適切な調査手法か否かを再検討・再吟味する必要が生じたためでもある.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には質問紙調査の実査まで進め,中間組織の触媒作用に関する全体構図を明らかにするという本研究課題に一定の結論を得るところまで進める予定である.
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Causes of Carryover |
理由は次のとおりである.第1にもちろん,コロナ禍のために渡航ができず,研究が滞ったためである.第2に,予期せぬ政策変更や,予想していなかった知見が得られたために,質問紙調査を行うという研究計画について慎重な再検討が必要になったためである.第3に,上記の再検討の結果,質問紙調査を実施する方向で考え始めたが,そこで行うべき質問の内容や調査の設計については依然としてかなりの検討が必要であるためである.以上3点の理由があって,次年度使用額が発生している. 次年度には,質問紙調査委託費にほぼ全額を費やす予定である.
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