2019 Fiscal Year Research-status Report
Econometric Study of Sustainable Tourism
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19K01654
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
諏訪 竜夫 山口大学, 経済学部, 准教授 (80507161)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 観光地の持続可能性指標 / 端点解モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では2019年度には主に「学会の参加による最新の研究動向の把握」、「フィールド調査」、「計量経済学的分析の準備」の3つを進めた。 2019年は日本経済学会春季大会、観光学術学会、環境経済・政策学会、日本経済学会秋季大会、日本観光研究学会に参加した。環境経済・政策学会と日本経済学会秋季大会では研究報告に対する討論者として参加した。環境経済・政策学会では本研究でも用いる端点解モデルを観光に適用した論文への討論を行い、日本経済学会秋季大会では選択実験と呼ばれる、本研究と関連が深い手法を用いた研究への討論を行った。これらの討論による意見交換によって本研究に有益の情報収集が実施できた。また日本観光研究学会では、本研究の中心的課題である観光地の持続可能性指標に関するセッションに参加して、関連の研究者と情報交換を進めた。 また本研究は2019年度に北海道や沖縄県でフィールド調査を進めた。北海道では大雪山国立公園と日高山脈襟裳国公園の観光地で現地調査を行った。大雪山国立公園では登山客が集中する紅葉の時期に大雪高原温泉、銀泉台等の主要観光地ではシャトルバス運行によるマイカー規制が導入されているが、それらの利用規制の実態について現地調査を行った。また日高山脈襟裳国立公園内にある幌尻岳も同様にシャトルバスによるマイカー規制が行われており、その規制の実態について現地の状況の視察を行った。また沖縄県では羽地ダムにおけるカヌー等のダムツーリズムの状況を視察した。 さらに本研究では計量経済学的手法を適用するため、2019年度はOxMetrics、GAUSS、NLOGIT、STATA等の今後の計量分析で必要となる統計ソフトを導入し、それらのソフトのプログラミング作業を進めた。さらに近年では統計ソフトRが様々な分野で活用されいる。そのため学内でRの勉強会を実施し、Rでのプログラミングも進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では当初2019年にはフィールド調査、学会の参加による最新の研究動向の把握、計量経済学的分析の準備等を予定していた。 フィールド調査に関しては北海道や沖縄県で実施することができた。特に北海道では過剰利用が懸念される紅葉期の大雪山で現地調査を行い、現地の混雑状況やシャトルバスを活用した利用調整の実態を調査することができた。また北海道では日高山脈襟裳国定公園内の幌尻岳への現地調査も実施した。幌尻岳は百名山として人気がある一方で、登山の難易度の高さや宿泊施設の収容能力の制限により、シャトルバスによる規制が実施されている。そこ2019年度に幌尻岳に実際に訪問することにより、現地の環境収容力や利用規制の実態について調査することができた。 さらに2019年度には多くの関連学会に参加し、特に環境経済・政策学会と日本経済学会では本研究と関連性が深い研究報告への討論者として参加し、研究報告者と活発な意見交換をすることができた。また日本観光研究学会では本研究の主要なテーマである「観光地の持続可能性指標(STI)」に関するセッションに参加し、STIを沖縄の観光地に適用した研究やSTIの世界の研究動向等を把握するともに、関連の研究者との有益な情報交換、意見交換をすることができた。 さらに統計ソフトを入手しプログラミング作業を進めることにより、本研究での計量経済学的手法の準備を進めることができた。 以上より、2019年度は当初の研究計画で想定していた各種調査研究を進めることができたため、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度以降において、昨年度のフィールド調査や最新の動向の調査を踏まえて、観光地の持続可能性指標と端点解モデルの結合に関する実証研究を進めていく。また2020年度も2019年度と同様に学会、研究会に参加して、最新の研究動向の調査や関連の研究者との情報交換を進めていく。 しかし、近年の新型コロナウイルスの影響により、現地調査、データ収集に関して当初の研究計画は大きな影響を受ける可能性が高い。本研究では2020年度には観光地への聞き取り調査を進めて研究対象地を決定する予定であるので、新型コロナウイルスの影響の緩和を待ち、2020年度の夏以降にフィールド調査や観光業者への聞き取り調査を再開する予定である。 しかし、新型コロナウイルスの影響で2020年以降は観光の動向が大きく変化している。本研究は当初の研究計画では2020年度以降の観光客の観光地訪問データも利用する予定であった。しかし2020年以降の観光訪問データは入手が難しく、また入手しても特別な状況下での異常値となる可能性がある。 そのため観光客の観光訪問データに関しては、新型コロナウイルスの影響がない2019年の顕示選好データを用いるか、新型コロナウイルスの影響がない仮想的な想定での観光訪問行動という表明選好データを用いる等の工夫が必要となろう。
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Causes of Carryover |
2019年度の直接経費は概ね予定通り執行されたが、直接経費の1,000,000円のうち4,201円が予算の単価と執行の際の単価の違いなどにより、未執行額として残った。この額は2020年度に物品費として執行する予定である。
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