Econometric Study of Sustainable Tourism

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K01654
• Research Institution: Yamaguchi University
• Principal Investigator: 諏訪 竜夫 山口大学, 経済学部, 准教授 (80507161)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 観光地の持続可能性指標 / COVID19 / 端点解モデル

Outline of Annual Research Achievements

本研究は2019年度に「学会の参加による最新の研究動向の把握」、「フィールド状況調査」、「計量経済学的分析の準備」を実施し、2020年には日本経済学会、環境経済・政策学会、ヨーロッパ環境資源経済学会等に参加し、それらの学会で本研究に関連する最新の研究動向を調査し、さらに本研究と関連する他の研究者の研究報告に対する討論者を務めたことで、有益な情報収集を実施することできた。さらに2020年度はウェビナーを開催することで
新型コロナウイルス流行化での観光統計による状況分析や本研究に直接関連する観光地の持続可能性指標に関する情報収集、意見交換を行った。
それらの成果を踏まえて2021年度は観光業者へのインタビュー調査、観光客から観光地訪問データの収集を予定していた。しかし新型コロナウイルスの流行状況が好転せず、それらのフィールド調査を実施することは出来なかった。そこで本研究は2021年度と同様にオンラインでの開催された日本経済学会、環境経済・政策学会、ヨーロッパ環境資源経済学会に参加することで最新の研究動向の調査を行った。
また本研究は持続可能な自然観光資源の管理が研究テーマであるが、当初の研究計画では考慮していなかった新型コロナウイルス感染症流行の影響も含んだ観光地の持続可能性を検討することとした。2021年度以降にCOVID19と観光に関連する研究成果が多く公開され始めたために、それらの先行研究のレビューを精力的に実施した。
さらに昨年度と同様にR、GAUSSS、STATA等の統計ソフトのプログラミング作業を進めて、2022年度にデータ取得した後に円滑に分析を実施するための準備を進めた。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究では、2019年にはフィールド状況調査、学会の参加による最新の研究動向、計量経済学的分析の準備を、2020年度にはインタビュー調査やアンケート調査等の本格的なフィールド調査を予定していた。しかしフィールド調査に関しては、2020年からの新型コロナウイルス感染症の流行により、実施することができなかった。そのため2020年度はオンラインで開催される学会やウェビナーでの情報収集、意見交換を積極的に進めることとなった。そこでは本研究と関連性が深い学会報告に対して討論者の立場から意見交換することができた。またウェビナーの開催を通じて本研究の主要なテーマである「観光地の持続可能性指標（STI）」に関する情報収集、意見交換をすることができた。
2021年度には2020年度に実施できなかった観光地でのフィールド調査を実施する予定であったが、2020年度と同様に新型コロナウイルスの感染症の流行により、フィールド調査は実施できなかった。そのため2021年度はオンラインでの学会参加や2021年度から多く公開され始めた新型コロナウイルス感染者流行下での観光行動に関する論文のレビューを行い、感染症という新しい要素を考慮することでポストコロナ、ウィズコロナでの持続可能な自然観光資源管理を分析する経済モデルの構築を進めた。
さらに2020年度に引き続き統計分析用のプログラミング作業を進めることにより、本研究での計量経済学的手法の準備を進めてきた。
以上より、2021年度も当初の研究計画で想定していたフィールド調査やデータ収集を進めることができなかったため本研究の進捗はやや遅れていると言わざるを得ず、そのため研究期間の1年間の延長を行った。しかし新型コロナウイルス感染症という状況に柔軟に対応し、感染症という新しい要素を研究内容に取り入れることで、より発展的に研究を進めることができている。

Strategy for Future Research Activity

本研究では、2019年度と2020年度の計量経済学的な準備と最新の研究動向のレビューに基づき、2021年度はフィールド状況調査を実施して、観光地へのインタビュー調査や観光客へのアンケート調査から、観光地の持続可能性指標と端点解モデルの結合に関する実証研究を進める予定であった。しかし2021年度も2020年度と同様に新型コロナウイルス感染症の流行により、これらの調査は実施できなかった。そのため本研究は2022年度の初夏から本格的にフィールド調査を進めていく予定である。具体的には観光地への聞き取り調査を進めて研究対象地を決定し、観光客や観光業者への聞き取り調査を実施することを予定している。また2022年度も昨年度までと同様に多くの学会、研究会、ウェビナーに参加することで最新の研究動向を調査し、同分野の研究者との情報交換を進めていく。
本研究の推進に際しては、新型コロナウイルス感染症の流行の影響を考慮する必要がある。新型コロナウイルス感染症の流行により、人々の観光への意識が大きく変化した可能性が高く、コロナ収束後も人々の観光動向が新型コロナ流行前と比べて大きく変化していることが予想される。そのため本研究の分析対象である持続可能な自然観光資源管理も感染症という新しい要素を導入して分析していくことが求められるであろう。
2021年度よりCOVID19と観光に関連する研究成果は多く刊行されているため、それらの研究成果を取り入れつつ、コロナ禍によって人々の「持続可能な観光」への意識がどのように変化したか、さらに適切な「観光地の持続可能性」の評価項目に感染症対策がどのように加えうるのかを分析することが必要となろう。

Causes of Carryover

2021年度の新型コロナウイルス感染症流行により、当初予定していたインタビュー調査とアンケート調査を実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。
2022年度は2021年度の予定していた調査を実施することでこれらの予算を執行していく。