2021 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of information disclosure on conflict in resource-rich countries focusing on Dodd–Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act
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19K01687
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
新熊 隆嘉 関西大学, 経済学部, 教授 (80312099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
村上 進亮 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (40414388)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 資源の呪い / 紛争 / ドッド・フランク法 / Gravity model |
Outline of Annual Research Achievements |
Gravity modelにもとづく二国間貿易量分析によってドッド・フランク法の有効性を検証し、以下の分析結果を得た。まず、同法の施行によってDRCからアメリカ、その他のOECD諸国への対象鉱物の輸出は減少した。その一方、DRCの周辺国からの輸出が増加した。これは、周辺国の生産増加によるものであるか、DRC産の鉱物が周辺国に密輸され、周辺国産として輸出されたかのいずれかであるが、本研究の分析結果にもとづくと後者の可能性が高い。その一つの証左は、CPIスコア(汚職度指数)を加えた推計によって、同法の施行後はDRCおよび周辺国からCPIスコアの低い(汚職度の高い)国への輸出が増えたことである。 また、紛争による死者数と貿易量の関係についても興味深い結果を得た。まず、輸出国における紛争による死者数と輸出の関係が同法の施行後に弱まったことがわかった。これは、DRCおよび周辺国についても当てはまることであり、鉱物輸出と紛争の負の連鎖を断とうとする同法の成果を示すものである。しかしながら、紛争による死者数を輸出国における死者数ではなくDRCにおける死者数とした場合、周辺国からアメリカ、タイ、ベトナムへの輸出と死者数の関係が法律の施行後に強まったことが分かった。これは、法律施行によって、DRCから(密輸による)周辺国を迂回した輸出が増えたことを示唆するものである。 このように、鉱物輸出と紛争の関係を断ち切ろうとしたドッド・フランク法はある程度有効に働いたと言えるが、密輸によってその効果が弱められていることが本研究によって示された。
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Research Products
(5 results)