2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of loan lending efficiency for the Danish regional banks
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19K01763
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
志村 裕久 創価大学, 経営学部, 教授 (80768250)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | データ包絡法 / デンマーク金融システム / ローン効率化モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
デンマークの金融セクターは、欧州でも比較的大きな金融市場となっており、金融機関が細分化されていることがデンマーク金融システムの特徴である。1990年代後半の規制緩和やグローバリゼーションおよびその他の技術的改善等により、EU-28内での金融機関は2008年には8、525 金融機関があったが、2017年には6、250までに減少した。一方、デンマークにおける業界再編は2000年前半より始まっており、2014年から2019年にかけて、中規模の金融機関の総数51機関から19機関が減少している。特に、リーマンショックによる金融危機の影響により、不動産市場は混乱を招き、複数の機関が多くの不良債権を抱え、業界再編につながった。 本研究では、2段階データ包絡法を用いて、ローン効率性をローン貸出効率性とローン収益性に分解しつつ、統合的なローン効率性モデルを開発した。本モデルでは、ベンチマーキング手法を用いており、各金融機関に対して、ベンチマーク企業が持つ指標からの乖離率を計算し、デンマーク金融市場内におけるローン効率性マップを開発した。このローン効率性マップから、リーマンショック以降の業界の統廃合との関係性について、考察を加えた。 ローン効率性モデルとリーマンショック後における金融業界の統廃合との関係性を考察したところ、2つのことが確認できた。ひとつは、更なる収益性を改善する目的で、隣接あるいは地域内の収益性では劣るが融資効率が高い銀行を買収している。ふたつは、破綻した企業の多くは、ローン貸出効率性、収益性の管理が不十分であるという特徴を持っている。このことは、信用力が弱い金融機関の金融危機中の金融機関のデフォルトの確率が高いことを説明したといえよう。 今後の研究課題としては、本研究で解明されたリスク管理を含めて経年的な変化についての研究が挙げられる。
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Research Products
(1 results)