2020 Fiscal Year Research-status Report
特許データと質問票調査にもとづく技術者ネットワークと知識移転
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19K01847
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
真保 智行 関東学院大学, 経営学部, 准教授 (70533355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中内 基博 青山学院大学, 経営学部, 准教授 (20339732)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 知識移転 / 発明者 / ネットワーク / 特許 / 部門間の知識移転 / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、知識の提供者のネットワーク特性が部門内および部門間の知識の選択にどのような影響を及ぼすのかについて分析を試みた。特に、知識移転プロセスにおける、知識の吸収と新規性の問題に注目し、そのバランスがとれるときに重要な知識移転が促進されると予測した。同部門の発明者の知識は、獲得者にとって吸収が容易だが、知識の新規性は低くなる一方、他部門の発明者の知識は、獲得者にとって知識の新規性は高いが、吸収が困難となると考えられる。本研究では、こうした知識移転の問題点を提供者のネットワーク特性が解決すると予想した。知識の提供者のネットワーク特性が部門内および部門間の知識の選択にどのような影響を及ぼすのかについて分析を試みた。 分析結果からは以下の3点が明らかになった。第一に、提供者が空隙を繋いでいるほど、その知識は部門内で利用されやすく、部門内の知識移転を促進する。第二に、提供者の中心性が高いほど、その知識は部門内で利用され易くなるが、ある水準を超えると利用されなくなってしまう。第三に、提供者の中心性が高いほど、その知識は他部門で利用され、部門間の知識移転を促進する、ということである。 同研究は2020年度の組織学会で報告を行い、国内雑誌への投稿を行った。 さらに、境界連結者(異なる部門との繋がりを持つ人)のネットワークと部門内の知識移転との関係を分析した。境界連結者の知識は理解するのが難しいので部門内では利用されにくいが、境界連結者のネットワークによってはそうした問題が解消されることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文を英訳するのにやや時間がかかったが、おおむね分析や原稿執筆は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は境界連結者の分析を原稿にして、学会発表と投稿を予定している。 また、発明者のネットワークとそのイノベーションとの分析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために学会などへの出張ができなかったため、次年度使用額が生じた。現状では海外出張が難しいので、その分を論文投稿、英文校正、関連書籍などの費用に充てることを予定している。
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Research Products
(1 results)