2021 Fiscal Year Research-status Report
特許データと質問票調査にもとづく技術者ネットワークと知識移転
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19K01847
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
真保 智行 関東学院大学, 経営学部, 准教授 (70533355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中内 基博 青山学院大学, 経営学部, 准教授 (20339732)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 知識移転 / 発明者 / ネットワーク / 特許 / 部門間の知識移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
イノベーションにとって部門間の知識移転は重要であるが、他部門の知識の吸収は難しいと言われる。先行研究では、他部門の知識を探索し、それを部門内メンバーに伝達する境界連結者(BS)の存在に注目してきた。BSは他部門の知識を探索する知識探索者の側面と、それを部門内メンバーに伝達する知識提供者の側面を持っているが、先行研究では、BSの探索者の要件についての分析を行う一方、提供者の要件についてはほとんど検証していない。そこで、本研究では提供者としての要件を明らかにするために、BSのネットワーク特性(中心性、空隙)に注目し、BSがどのようなネットワーク特性を持つときに、その知識が部門内で利用されやすいのかについて分析を試みた。 分析結果からは以下の2点が明らかになった。第一に、知識提供者がより多くの部門を連結しており、その中心性が高いほど、その知識は利用されにくいことである。BSは役割の過負荷という問題を抱えているが、多くの部門を連結するBSが中心的なネットワークを有する場合には、より多くの情報を処理する必要があるために、この問題がより深刻になってしまうのである。第二に、知識提供者がより多くの部門を連結しており、空隙を繋いでいるほど、その知識は利用されやすいことが見いだされた。これは、多くの部門を連結するBSが空隙を繋ぐネットワークを有する場合には、他部門の知識を翻訳する高い能力を持っており、かつそのネットワーク内の情報フローが少ないために役割の過負荷が軽減され、部門内メンバーに対してその翻訳能力を十分に発揮することができるからである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の論文の執筆と投稿を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿作業を継続しながら、発明者ネットワークとイノベーションとの関係に関する論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
発明者ネットワークの企業内の知識移転への影響だけではなく、イノベーションの創出への影響も明らかにする必要があるため。
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