2020 Fiscal Year Research-status Report
Study of relationship between insight and dialogue process in design-driven innovation
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19K01974
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
廣田 章光 近畿大学, 経営学部, 教授 (60319796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 学 日本大学, 商学部, 教授 (80411685)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イノベーション / デザイン・ドリブン / 実験行動 / 認知と表現 / 相互作用 / 対話 / リフレクティブ・カンバセーション / 問題発見 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の研究目標はイノベーションが生まれる創造的瞬間におけるニーズ・ソリューション・ペアズ(Von Hippel and Von Krogh 2016)に対する動態的構造を示すことにある。そのために認知と表現の相互作用(リフレクティブ・カンバセーションの枠組みによる開発プロセスの分析と考察を通じてデザイン・ドリブン型開発の理論的、実践的知見を得ることを目指した。そのために、デザイン・ドリブン型イノベーションの事例として、市場創造につなげた、消費財製品分野(3製品のイノベーションプロセス)、サービス分野(3サービスのイノベーションプロセス)についての2019年度の調査を活用し、問題発見の観点(Design Council 2004、Norman 2013)ならびに問題発見と解決の同時性の観点(Hippel and Von Krogh 2016)から記述し基礎資料を作成した。さらにその基礎資料をもとに、問題発見、問題発見と解決の同時性のダイナミズムを「リフレクティブ・カンバセーション」(表現と認知相互作用)の観点から考察をした。そして成果をHirota(2021)(査読有)論文として公開した。また、デザイン・ドリブン型イノベーションを社会課題への拡張可能性について調査、考察を行った。社会課題は多様な分野に横断的に存在し、個々の領域の解決だけでは限界がある(Phills, Deiglmeier and Miller 2008)。その問題に焦点をあて、デザイン・ドリブンの知見を活かし、問題を社会に広く共有する(シェア・イシュー(Share Issue))がイノベーションにつながることを説明した。成果をHirota(2020)、廣田(2020)として公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
問題発見と解決の同時性(インサイト)と相互作用に関する認知科学的視点による考察につなげるため、相互作用の動態分析として開発者ならびにユーザーの表現行動にかんする開発者の行動に関する調査と記述を実施した。記述を元に比較事例研究をもとに、開発者の状況、製品使用環境、開発プロセス初期段階における創造的瞬間(インサイト)と相互作用(「リフレクティブ・カンバセーション」)との関係を、表現多様性ならびに表現タイプについて比較、考察し、表現行動特性、相互作用特性、インサイトとの関係を明らかにするモデル構築を進める。モデルの検証、修正については製品タイプ別に開発者を対象とした約300サンプルの質問票調査を実施すると共に、学生および社会人を対象としたモデルを使用したデザイン・ワークショップを実施する。ワークショップの実施よってモデルの有効性を確認、不足を研究期間内に試行、修正を繰り返すこと通じ実践的なモデルを実現する。 新型コロナウィルス感染症拡大のため、2020度予定していた、国際学会報告(ISPIM2020、OUI2020)がオンラインおよび、中止となった。そのため海外出張および海外デザイン研究者との意見交換が実施できなかった。その不足を補うため、オンラインでのミーティングを実施した。またスタンフォード大学のデザインチームのメンバーとの現地での意見交換が実施できなかった。代替としておよびランカスター大学の研究者コミュニティとのオンラインミーティングを合計3回オンラインで実施した。 研究成果は、国内学術論文2本、海外学術論文2本(査読)、国内学会報告5回、海外学会報告1回を行い、コメント、フィードバックを得た。また、共編者として1冊の書籍出版を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
海外研究者ならびに国内研究者との打合せは、オンライン機器を使ったミーティングを継続実施し、当初目標としていた研究計画の実施の遅れを最小限に留める。そのため、以下のような項目について研究を進める。 第1に、デザイン思考の国内企業への導入実態調査と導入障害に関する考察を行う。第2に、リフレクティブ・カンバセーションのモデルを問題発見と解決および問題発見・解決の同時(Hippel and Von Krogh 2016)の3つの成果と表現行動との関係について質問票の設計を行う。第3に、リフレクティブ・カンバセーションによる相互作用モデルとその要件を明らかにする調査を実施する。第4に、スタンフォード大学デザイン研究者、ランカスター大学デザイン研究者との意見交換と米国、英国、日本のデザイン・ドリブン型イノベーションの企業経営への浸透状況の比較を実施する。第5に、イノベーターに対する追加インタビュー調査を実施、モデルに沿った表現行動の検証をする。第6に、表現行動の発生特性によってイノベーターのタイプ分類を行う。第7に、またリフレクティブ・カンバセーションと表現行動と表現能力との関係について考察をする。第8に、以上の成果は論文と学会(認知科学学会、商業学会、ISPIM)における報告によって公開をする。 インタビュー調査、現地訪問による調査、および学会報告はオンラインでの実施が求められる。特に調査については、開発製品の直接確認などの実施については、感染状況に応じ期間の後半でも追加調査が実施できるよう準備を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大のため、令和2年度予定していた、国際学会報告(ISPIM2020、OUI2020)がオンラインおよび、中止となった。そのため海外出張および海外デザイン研究者との意見交換が実施できなかった。その不足を補うため、オンラインでのミーティングを実施した。またスタンフォード大学のデザインチームのメンバーとの現地での意見交換が実施できなかった。代替としておよびランカスター大学の研究者コミュニティとのオンラインミーティングを合計3回オンラインで実施した。また、国内外の製品開発者へのインタビューならびに実態調査の実施が充分に実施できなかった。それに関連する調査については、オンラインによるインタビューおよび中間成果をもとにした意見交換を実施しながら体制を整えた。 次年度使用額については、海外研究者とのオンラインミーティングを継続しつつ、国内外イノベーターのオンラインによるインタビューに関する記録媒体と記録のテープ起こしとして前半は執行する。また後半、感染状況によっては、対面によるインタビュー、オンラインと対面を組み合わせた成果の公開を実施するために活用する。
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Research Products
(11 results)