2020 Fiscal Year Research-status Report
Japanese Local Goverment Internal Control Framework with New Local Government Accounting and Audit Commissioner's Audit
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19K02031
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
石原 俊彦 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (20223018)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | NPM / NPG / Public Service Logic / Co-Creation / Value Creation / OPA / Public Accounting / Inspection and Audit |
Outline of Annual Research Achievements |
新地方公会計や監査委員監査の改革は、地方公共団体における行政経営やガバナンスのフレームワークに大きな影響を受けて変化してきている。本年度は、日本型地方自治体内部統制フレームワークの構築に際して、最も重要となるわが国地方公共団体におけるOPA(Old Public Administration)、NPM(New Public Management)、NPG(New Public Governance)の変遷について整理を行った。これらの一連の研究成果は、後述のように著名な英文ジャーナルに投稿して掲載された。 本年度に特に、解明された研究内容は、以下のとおりである。 「NPM の手法を積極的に導入して行政改革に成功した海外事例として、ニュージーランド、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州、イギリス、アメリカのテキサス州やオレゴン州などのケースが、1990 年代以降わが国でもしばしば紹介されてきた。しかし、これらの先進事例を参考に、実際にわが国で実践されたNPM 改革として、大きく目立った成果は存在していない。それにもかかわらず、わが国では2000 年代頃より、国も地方も行財政改革が盛んである。そして、一部には(一時期であるにしても)目覚しい成果を上げている改革も現実に存在する。しかも、それらの行財政改革は、民間企業の経営理念や手法を参考に展開されたという意味において、NPM の手法に基づいて改革が推し進められたと整理することができる。つまり、わが国自治体で意識されているNPM は、海外事例としてのNPM の援用を必ずしも意味するものではなく、ダイレクトに民間企業の経営手法をわが国官庁部門が援用した結果として認識することが妥当なのである」。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英文ジャーナルへの研究成果の掲載も実現され、次年度(令和3年度)と最終年度の令和4年度は、一連の考察結果を著書(単著)として出版すべく研究体制を整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である令和4年度には、一連の研究成果を『監査委員監査-実践とその論理-』として単著として出版の予定である。本書の原稿を策定する関係で、次年度(令和3年度)は地方公共団体等の監査実務関係者へのインタビュー調査や資料収集に取り組み、より充実した資料に基づいて研究成果を集約する。ここで、具体的な執筆予定内容は以下の通りである。 ①監査委員監査の体系、②定期監査と決算審査の連動、③定期監査と行政監査、④監査のリスクアプローチとは、⑤内部統制と財務事務執行リスク、⑥内部統制と新地方公会計、⑦監査計画の策定と立案、⑧分析的手続監査の実践、⑨監査調書の体系、⑩監査証拠の収集と評価、⑪遵守性テストと実証性テスト、⑫監査人の独立性と監査専門委員、⑬共同監査機関の設置、⑭英国監査委員会の実践、⑮VFM監査と行政監査、⑯新地方公会計とVFM、⑰内部統制の概念フレームワークなど。 なお、次年度は書物原稿の完成を目標とし、本研究の最終年度である平成4年度に、具体的な単著としての出版を計画している。また、COVID-19の状況が落ち着き次第、当初から予定している英国における現地調査をできるだけ早く再開したいと考えている。 このように、本研究ではその成果として、英文ジャーナルと単著の出版が予定されており、いずれも公的研究費の助成に相応しい研究成果の実現と考えられる。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で、国内外の調査研究が、研究当初の2年間に実施できていない。それを補うべく、文献渉猟を中心に研究活動を続けており、令和3年度以降には、これらの未執行の研究費が順次使用される予定である。
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Research Products
(1 results)