2021 Fiscal Year Research-status Report
Japanese Local Goverment Internal Control Framework with New Local Government Accounting and Audit Commissioner's Audit
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19K02031
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
石原 俊彦 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (20223018)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 監査委員監査 / 内部統制 / VFM / 価値創造 / 価値共創 / エコシステム / 公共サービス / Public Service Logic |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に直接関係する監査の基礎概念にVFMがある。従来からのロジックモデルによれば、価値の創造は、財源→インプット→プロセス→アウトプット→アウトカムというフローにおける相互関係で経済性、効率性、達成度、有効性、必要性などの概念で整理されてきた。 ところが最近の監査委員監査とその評価対象である内部統制に関しては、公共価値を想定した価値概念をこのロジックモデルに組み込むことで、新地方公会計と監査委員監査を内包する日本型地方自治体内部統制フレームワークの構築が可能になると考えられている。この小結は、本研究における2021年度までの三年間の研究成果として最も重要な点である。 2021年度における研究は、この小結で重視される公共サービスの提供における価値の諸概念の体系を考察対象とし、その内容を一定のアウトプットとして社会に還元することを目的に実施された。研究代表者が研究指導する大学院博士課程後期課程の大学院生、研究員、それに研究室のOBOGの大学教員と協働して、この目的を達成するために現在研究対象としている学術書が次の書物である。Osborne, S. P. (2020). Public service logic: Creating value for public service users, citizens, and society through public service delivery. Routledge. 2021年度にはこの高度でアカデミックな大著の解読と考察と学術的貢献の集約に取り組み、翻訳原稿としての出版が可能なレベルにまで遂行し、本書の内容をわが国の学会等に紹介できるレベルにまで精緻に仕上げることができた。本書の出版は、本研究計画における非常に重要な社会的な貢献として、学界・実務界から評価されると期待される顕著な内容を伴う学究的成果を具備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の研究成果の集大成は、Osborne, S. P. (2020). Public service logic: Creating value for public service users, citizens, and society through public service delivery. Routledge.の翻訳書を出版することに傾注しており、2022年度の比較的早期の段階において、本書の翻訳原稿を出版社に入稿の目途が立っているため、本研究の進捗は相当に順調であると考えている。 なお、この研究成果の集約に先立って、何本かの学術論文が研究代表者との共著という形でも刊行されており、研究の進捗は当初の計画を上回るスピードと成果を伴って実現されている。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の影響で、本研究では約2年間にわたって当初予定されていた国内外のヒアリング調査を実施することが困難な状況にある。この間、行政部門における監査委員監査と内部統制に大きな学術的影響を及ぼす公共価値ロジックが、エジンバラ大学のオズボーン教授から著書として公表され、その記述内容が本研究計画に極めて有効であることを発見した。 すなわち、COVID-19で人的交流が困難なこれまでの期間に、研究代表者はオズボーン教授とのメールやZoomによる意見交換を幾度も重ねて、本研究の主たる研究対象として Osborne, S. P. (2020). Public service logic: Creating value for public service users, citizens, and society through public service delivery. Routledge.に取り組むことの重要性を見出し、研究代表者が研究指導する大学院博士課程後期課程生や大学院研究員(そのOBOGである博士と大学教員を含む)との研究題材として同書の内容を徹底的に分析し、その結果を翻訳書として出版しようとしている。 上記の書物の翻訳書は、本研究代表者と松尾亮爾氏(関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科准教授)との共監訳書として出版予定で、そのための原稿は2022年6月に関西学院大学出版会へ入稿の予定である。 入稿後は三回程度の校正作業を通じて、翻訳内容の一層の精緻化に取り組むことになる。本訳書は2022年12月をめどに出版の予定である。 なお、本研究の主たる研究成果である本訳書の出版と歩みを一にして、本訳書の分担翻訳者と研究代表者による数本の学術論文が公表される予定である。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では、英国を中心に韓国やヨーロッパ諸国の研究機関に所属される研究者や実務家へのインタビューや学術的討議を予定していたものの、COVID-19の影響でそれらが実施できなかった。それゆえ本研究では、エジンバラ大学のオズボーン教授らとのZoomを介した意見交換から、同教授が提唱した新しい公共サービスロジックが本研究計画の根底となる基礎概念を形成するものであることを発見し、この書物の渉猟を介した研究目的の達成へと研究を進めている。 このため、本研究では最終年度である次年度において、オズボーン教授の書物の翻訳出版に相当の研究費を充当することとなり、次年度使用が生じることとなった。また、最終年度に予定を繰り越した海外調査のための費用も、次年度繰越額のなかに含まれている。
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Research Products
(1 results)