2020 Fiscal Year Research-status Report
保守的会計実務と企業戦略・企業特性との関連性に関する研究
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19K02034
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Research Institution | The University of Aizu Junior College Division |
Principal Investigator |
大橋 良生 会津大学短期大学部, 産業情報学科, 准教授 (50442017)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 財務会計 / 保守主義 / 企業戦略 / 企業特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,会計実務方針の一つである保守主義に着目し,保守的会計実務と企業戦略・企業特性との関連性を明らかにすることである。 4年計画の二年目にあたる2020年度は,初年度に行った学会報告について,論文の執筆・投稿を中心に行った。具体的には,企業戦略の一つである株式上場について,海外重複上場会社と日本市場上場会社との比較を,損失認識の適時性の観点からの分析結果をとりまとめた。また,非上場会社における損失認識の適時性について,会社規模やレバレッジなどの会社の特徴や監査役や取締役の特徴との関連性の分析,および上場会社との比較分析を行い,その結果を取りまとめた。 また,今年度は,上記に加えて,企業特性として,内部統制に焦点をあわせ,その問題を抱えている会社における損失認識の適時性を分析し,研究報告を行った。分析の結果,内部統制に問題を抱えている内部統制問題開示会社が,決算年・業種・資産規模でペアマッチした内部統制問題非開示会社よりも,より適時的な損失認識を行っていることが示唆された一方で,2011年制度改正後の期間では,分析結果が混在していることが確認された。これらの分析結果について,内部統制の問題に関する変数や比較対照企業の選択など,より頑健的なリサーチ・デザインの構築が必要であり,今後の課題である。 なお,今年度は,上記と並行して,IPOや内部統制状況に関するデータの追加収集を行った。次年度以降,これらの収集したデータを用いて,財務データや株価データを交え,研究目的に合致したリサーチ・デザインの構築や分析を行い,その結果について,論文にとりまとめを行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は,前年度学会報告を行った研究成果について,学会報告での指摘をふまえ,リサーチ・デザインの改善を行い,分析結果を2本の論文にとりまとめ,公表した。加えて,企業特性として,財務報告の信頼性確保を目的とした内部統制に焦点を合わせ,その問題を抱える企業について,損失認識の適時性の観点から,その問題を開示していない企業との比較分析を行い,研究報告を行った。次年度以降のデータ分析や論文執筆に関して,研究報告におけるリサーチ・デザインの改善の指摘をふまえながら,より効率的に進めることができると考えられる。全体として,今後の研究計画に大きな変更を必要とするような影響はないと考えられ,「おおむね順調に進展している。」に該当すると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行った先行研究のサーベイの結果,諸外国企業を対象とした研究が多く,それに比べると日本企業を対象とした研究は限定的であることがわかった。また,保守主義のタイプとして,条件付保守主義に注目した研究が多いことがわかった。一方,企業戦略や企業特性と会計行動との関係では,裁量的会計発生高などを用いた利益マネジメント研究は多いものの,保守主義に関しては限定的である。今後の推進方策として,既存研究の成果を整理・体系化を行うとともに,企業特性や企業戦略として内部統制の問題やIPOを取り上げ,財務報告の質の一つである保守主義との関係性を分析する。分析データは,市販の財務データや株価データを用いることで,データ整理にかかる時間の短縮を図ることとする。
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Causes of Carryover |
【理由】次年度使用額が生じた主な理由は,研究資料収集および学会・研究会参加に関する旅費を計上していたが,研究資料についてインターネット利用を中心に収集できたため,および参加予定の学会・研究会について中止やオンラインでの実施となり,旅費を支出しなかったことがあげられる。 【使用計画】繰り越した研究費は,次年度の研究費と合わせ,企業データの購入費用,および研究資料やデータの整理のために短期的に雇用する研究協力者への謝金などに使用する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Book] 会計・監査研究の展開2021
Author(s)
高田敏文編著(大橋良生分担執筆)
Total Pages
230(大橋担当:173-198)
Publisher
同文舘出版(株)
ISBN
9784495210205