2019 Fiscal Year Research-status Report
在日コリアンの「移動権」から見た新たなシティズンシップ研究の構築
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19K02053
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Research Institution | Japan Institute of the Moving Image |
Principal Investigator |
韓 東賢 日本映画大学, 映画学部, 准教授 (50635670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曹 慶鎬 立教大学, 社会学部, 助教 (20762892)
明戸 隆浩 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90817230)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 在日コリアン / 国籍 / 「朝鮮」籍 / 国際移動 / ナショナリズム / 排外主義 / 国別好感度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は2か月に1回ほどの会議および研究会を開き、研究を進めてきた。
①本研究の基礎となる「在日コリアンの国籍選択と国際移動に関する調査」を実施。1968~69年生まれの朝鮮学校卒業生に対するオンラインアンケートを通じて、国籍その他についての基本的な情報および、韓国国籍取得の時期やその主な動機などについての知見を得ることができた。 ②先行研究や歴史的データの整理、理論的枠組の構築。日韓の移動にかかわる現地調査、韓国社会学会日韓ジョイントセッションにおける報告(「『朝鮮籍』在日コリアンとトランスナショナルな移動権」)で、本研究の問題意識の有効性を確認できた。またその成果と経験の一部を、「日本政府による『朝鮮』籍コリアンの排除――2000年代のバックラッシュのなかで」(2020年刊行予定の『朝鮮籍―トランスナショナル世界を生きる人びと』の1章として掲載)にも反映させた。 ③関連して、日本の対外意識(とくに韓国イメージ)とナショナリズムの関係についての計量分析を実施。日韓関係およびそれと連動した日本国内の韓国イメージは本研究のテーマである在日コリアンの国籍選択や国際移動にも大きな影響を与えるが、この分析では外国を「敵」と「味方」に分けて考える志向が顕著になっており、さらにそれが「親韓型」と「嫌韓型」に分かれるという興味深い知見が明らかになった(明戸隆浩・曺慶鎬,2020,「ポスト冷戦期の日本における対外意識とナショナリズム――「友愛志向/敵味方志向」から見た外国好感度の再検討」『応用社会学研究』62)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要①については、2019年秋に準備に着手し、2020年2月に実施、3月に分析作業を行った。オンラインで調査可能かつ協力的な対象にアプローチできたことで、比較的スムーズに進めることができた。 概要②については、8月に行った日韓移動における現地調査も踏まえて、本課題応募時より行ってきたものを発表しようと2019年9月に応募、報告者に選出され、12月に韓国・延世大学で開かれた韓国社会学会で日本社会学会の代表として報告した。出版用の論考については、2020年3月までにまとめることができた。 概要③については、2019年の1年間にわたってデータの整理と分析に取り組み、その成果を学術論文としてまとめることができた ただし2020年3月7日、北海道大学金ソンミン准教授を招聘し、概要③の成果発表を兼ねて立教大学で予定していた公開研究会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響でやむなく中止となった。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には計画通りに進めていく。 2019年度に実施した基礎調査を踏まえ、理論的枠組みを再度整理したうえで、2020年度は世代間比較が可能な対象を拡大して質問紙調査を実施する。同時に、インタビュー調査にも着手し、あわせて分析し、成果を発表したい。 ただし、新型コロナウイルスの感染拡大状況により、インタビュー調査や研究会の開催、学会発表に困難が生じている。2019年度も公開研究会を中止せざるをえなかった。 会議についてはオンラインに切り替えたが、調査や研究会もよりスムーズかつこの機会を活用していっそうの充実をはかるため、機材の確保や通信環境の充実を含めた準備を始めている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、公開研究会の中止を余儀なくされ、物品購入も一部滞った。 今年度、中止した研究会を改めて開催し、物品についても購入する予定である。
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Research Products
(3 results)