2023 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーダイバーシティ状況におけるエスニック境界の再編:大阪市M地区の事例
Project/Area Number |
19K02075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高谷 幸 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (40534433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 幸子 岡山大学, グローバル人材育成院, 准教授 (20770001)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多文化 / スーパーダイバーシティ / エスニック境界 / 大阪 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多様性がより増大する大阪市を対象に、質的調査を通じ、エスニック境界の再編の動態と境界の機能を明らかにすることである。歴史的に在日コリアンが集住してきた大阪は、多様性に富む都市として発展してきたが、近年は大阪に暮らす移民のバックグランドがさらに多様化している。 コロナ下での中断と研究期間の延長を経て、本年度が最終年度となる本研究では、前年度から引き続き、在日コリアン集住地域であり、かつ近年多様な移民が増加しているI地区を中心にフィールドワークを実施した。具体的には、エスニック起業家や地域住民、地域の自営業者、日本語学校関係者等にインタビューを行った。 日本人地域住民からすると、以前は在日コリアンとの間にエスニック境界が引かれていたが、近年は日本人・在日コリアンとは別の存在として、新規移民の存在が認識されていることがわかった。これは、I地区で構築されているエスニック境界は、国籍やエスニシティ以上に、居住歴、言葉、地域社会における規範の内面化に基づいていることを示唆している。またこうしたバウンダリーは、その地域は誰のものか、という移民たちの帰属意識とも関わっている。新しい移民の増加は、自らの慣れ親しんだ場所の変化、喪失感とも結びついているからである。一方で、公園の使用をめぐって、対面的な関係の中で交渉が行われたケースもあり、エスニック境界の動態性も示された。 研究成果として、The European Association for Japanese Studiesの大会で研究報告を行った。 今後は、これらの成果をもとに論文を執筆する予定である。
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[Book] 入管を問う2023
Author(s)
岸見太一・髙谷幸・稲葉奈々子
Total Pages
272
Publisher
人文書院
ISBN
4750355593