2020 Fiscal Year Research-status Report
若手農家の参入時における家族の役割の解明ー大規模世帯員パネルデータの利用ー
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19K02080
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
西村 教子 公立鳥取環境大学, 経営学部, 教授 (00351875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 あかね 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (20470106)
仙田 徹志 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (00325325)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 若手農家 / 新規参入 / 女性参画 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の農業経営における「農業の後継者不足」、「農業地域の担い手不足」と言う喫緊の課題の解決策として農業の新規参入が挙げられる。新規参入には、経営資源の充足だけでなく、家族の理解や協力が農業経営の継続に不可欠な要素であると言われている。本研究は若手の新規参入者を対象に、農業経営における若手経営者とその家族に焦点を当て、家族間の役割分担や協力行動から新規参入の成功条件を解明しようとするものである。そのために、公的統計である『農林業センサス』の個票から世帯員パネルデータの構築を行い、農家およびその世帯員による数量分析と国内のインタビュー調査による家族の行動実態や参入ルートそして主観的側面などの定性分析の両側面から本研究課題を推進していく。 今年度は、(1)新規参入農家の経営面および経営者のライフコースの側面からインタビュー調査実査に向けた課題の再検討を行った。(2)露地野菜単一経営の法人化の進展に見られる農業経営の近年の変容から、家族経営の継続や在り方の検討の必要性が確認された。また、(3)2020年農林業センサスの実査にかかわる情報収集も引き続き行っている。そして、(4)昨年度作成した1995-2015年の『農林業センサス』の若手の新規参入農家のパネルデータから、経営者の継続状況および家族構成に関するデータを作成し、農業経営の継続と家族の協力との関係の実証分析を行った。その結果、新規参入農家の家族構成は核家族が中心であり、農業経営の継続には経営者と配偶者の従事が重要であること、また農業従事者の雇用は継続確率を下げることが明らかとなった。この結果と(2)の法人化、組織経営化のトレンドを鑑みれば、家族経営からの脱落は必ずしも農業経営の困難を示すものではなく、限定的な条件において成立すると考えられ、今後の課題として挙げられた。この分析結果は2020年9月の統計連合大会で報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き、1995-2015農林業センサスパネルデータを用いた実証分析と、2020年農林業センサスの集計結果、データセット構築にかかわる情報収集を行った。また、新規参入者を対象とした半構造化インタビューの質問案を作成している。しかし、実査は対象者の状況や研究法(スノーボールサンプリング)を考えると、オンラインインタビューは難しく、コロナのために夏に予定していた実査が実施できず遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度まで成果を受けて、自営農業を継承した若手経営者を対象とした実証分析を進めていき、家族経営の継続条件を検討していく予定である。またインタビュー調査については、新型コロナウイルス感染症にかかる状況を慎重に見極めながら、実査に向けて調査体制を整えていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行により、当初予定していた出張を伴う資料収集、インタビュー調査の延期が余儀なくされたため、差異が生じた。
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Research Products
(3 results)