2022 Fiscal Year Research-status Report
Disaster Resilience and Public-Private Support Network during a Large Scale Disaster
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19K02096
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
原口 弥生 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (20375356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 直樹 筑波学院大学, 経営情報学部, 講師 (10725766) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 広域大規模災害 / レジリエンス / 福島原発事故 / 支援ネットワーク / 茨城県 / アーカイブ / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度も新型コロナパンデミックの影響下にあったため、予定していた国内各地の広域避難支援団体への訪問を行うことができず、予定を変更し茨城県内の避難者が置かれた状況と支援上の課題について研究を進めた。 研究業績として、地震・津波という自然災害と原子力災害のそれぞれの被災者のメンタルヘルスに関する比較調査結果の論文が『International Journal of Environmental Research and Public Health』(IF=4.5)上にて公表された。社会的に十分に認知されているとは言い難い、原子力災害に特有な長期に及ぶ精神的影響についての国際的な発信となった。精神不調により学業や就労といった社会生活から遮断されている避難者は少なくなく、避難者支援の中でも、支援が困難なカテゴリーの一つである。原発事故がきっかけとなり、10年以上の引きこもり傾向の生活を続けている避難者もおり、本論文は引きこもり傾向の当事者だけの問題ではなく、広く原子力災害の被災者が置かれた精神的被害を自然災害との比較により示した論文である。 支援上の課題として、震災・原発事故から11年以上が経過し、避難指示区域からの避難者の中でも住民票を避難先に移すケースが増えており、住民票の異動後に「原発避難者特例法」関係の名簿から外れた避難者への情報提供が課題として浮上した。この点については、2023年度に論文としてまとめる予定である。 また、2022年度中を通じて、「講座環境社会学シリーズ」にて『福島原発事故は人びとに何をもたらしたのか』(2023年刊行予定, 新泉社)の論文執筆、編集に関わった。本書は2023年度中に刊行予定である。一般向けには、研究に関するマスコミ報道が、茨城新聞、東京新聞など4件あり、これらを通じて研究成果の一部について社会還元を行うことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論文執筆等は、当初の予定通りかそれ以上ではあるが、計画時点で予定していた国内各地また海外での調査も十分に実施できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は各地での調査も可能となると見込まれるため、インタビュー調査を進めるのと同時に、官民連携ネットワークの際に重要なアクターとなる市町村を対象とした市町村アンケートの実施を行う。ならびに事故直後の情報提供や被ばく防護措置状況が原子力災害時には重要となるため、現在策定中の広域避難計画への住民理解について調査を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナパンデミックの影響により、旅費の執行が無かったために残額が生じた。次年度は最終年度となるため、研究の総括や補足的情報収集に必要な出張(旅費)に使用する予定である。
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