2019 Fiscal Year Research-status Report
Conversation analysis of the internal exposure test result consultation
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19K02112
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
黒嶋 智美 玉川大学, ELFセンター, 助教 (50714002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮 友根 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (40714001)
西阪 仰 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (80208173)
須永 将史 立教大学, 社会学部, 助教 (90783457)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 会話分析 / 内部被ばく検査 / 福島県 / 医療社会学 / 視覚 / 相互行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はデータ拡充のためにデータ収録を現地で2回行なった.前課題の時から協力をお願いしている医師に,福島県内の病院を新たに紹介していただき,病院の倫理委員会の承認も得られた.これまでに4件収録したビデオデータコーパスを拡充(30件ぐらいまで)することを目標としていた.それぞれ,9件および10件のデータが収集出来たが,まだ目標には程遠い.収録出来たデータはトランスクリプトを随時作成し,分析のために整理を行っているところである. 本年度は,本課題と関連するテーマで国内及び国外で研究発表を行った.まず,保健医療社会学会で,医療記録が診療の中で用いられるその実践を記述することで,医療記録(カルテ)が医療に関する個別の患者の記録であるということがどのような意味を持つのかを,それが実際に用いられ組織される活動の相互行為を分析している.この発表は現在論文化し,投稿中である. 国外でも関連するテーマで研究発表を行った.国際エスノメソドロジー・会話分析学会では,消化器外科の手術において,外科医たちが,どのように自分たちの視覚的判断や視覚的測定の行為を,身体や道具を用いて視覚的に構築することで達成しているのかを記述した.参与者の視角にもとづく説明が専門家の知識や経験として立ち現われ実証的に呈示されることを資源として,医療安全を確保することが協働で達成されている.このような知見は,高度に科学化されたたとえば外科手術などが,どのような日常言語を介した日常的な実践として行われているのかを知る手がかりを与えてくれるといえる.すなわち,本研究課題がテーマにしている,科学的知識を前提とするような内部被曝という事象を,専門家を含む人びとはどのように知覚しており,様々な実践において語られるのかを読み取ろうとする試みにも共通する知見であるといえる.このような観点からのデータの分析にこれから着手していきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画では1年目にデータを30件収録する目標であったが,10月から1月まで研究協力をしていただいた医師が海外出張になり,データ収録の機会が得られなかったところが進捗に大きく影響している.また,2月以降は新型コロナウィルスの感染が拡大したこともあり,病院での調査そのものが行える状態ではなくなってしまった.そのため,予定よりも半年ほど研究が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は病院での調査を主にしているため,新型コロナウィルスの感染が収まらないかぎり調査を再開する目処は現在のところ立っていない.しかし,今年度収録したデータおよびこれまでに撮りためたデータもあるため,こちらから分析に着手し,状況が改善すれば,研究チームでのデータ検討会も定期的に行い,各自で知見をまとめていきたいと考えている.まずは手元にあるデータの分析を確実に進めることで,今後の研究の遅れを取り戻していかなければならない.
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Causes of Carryover |
調査旅費に使う予定だったのが,調査が行えなかったため残余が生じた.また,データを文字化する分量も初年度は大幅に減ったため,来年度使用額がこの通り生じた.
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Research Products
(10 results)