2020 Fiscal Year Research-status Report
健診受診者の背景・主観的行動と、生活習慣病に係る客観的検査値との関係の経年的分析
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19K02178
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
中尾 元幸 久留米大学, 医学部, 准教授 (60610566)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人間ドック / 健康診断 / 受診行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は人間ドック健診受診者の特徴に応じた保健指導に有用なエビデンスを提供することを目的とした。本研究ではある健診施設から供与を受けたデータを用いた。解析対象期間(1998-2017年度)における受診件数は約62万件であり、受診人数は約16万人であった。男性がやや多く、初診時平均年齢は約49歳であった。解析期間におけるリピーター割合は男性の方が高かった。受診回数に係わらず、40歳や50歳といった区切りの年齢前後に初めて受診する人が多かった。解析期間中の受診回数が増えるほど女性の割合は低かった。受診間隔は、男女とも概ね1~2年であった。各年の受診人数は、1998~2007年は増加傾向にあったが、2008年に10%以上減少し、以後横ばいである。リピーターに占める女性割合は約4割で推移し、上昇傾向にある。非リピーターでの女性割合は年ごとの変動が大きく、2008年以降の受診者数の減少は男性より顕著であった。受診者の職業については、2000年代中ごろまでは管理職の割合が多かったが、事務職に分類されるものが多くなってきた。近年では専門技術者が増加している一方で、農林漁業従事者は減少傾向である。無職・主婦の割合はリピーターにおいて男女とも増加している。無職・主婦の割合は女性で高いが、これは女性に主婦の割合が高いことを示す。有所見者は、40歳代後半までは男性が多く、それ以上では男女差はなかった。既に治療中の疾病を抱える者はリピーターのほうが多かった。現時点での結果から、特に女性における労働環境の不安定さや、社会経済情勢の変化が任意型検診の受診率に与える影響などが示唆された。本研究では単一施設からのデータを対象としているため、本研究での有所見率と、全国的なデータとの有所見率の比較等も行い、さらなる考察を行いたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ件数が多いことは想定していたが、年度ごとのフォーマットが異なっていたり、年度内でも入力の書式が異なっていたりと、データの統合に大きく時間を割くこととなってしまった。現在、概ねデータの統合は完了しているが、詳細な解析がほとんど行われていない。
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Strategy for Future Research Activity |
データの統合の作業の遅れが研究全体の遅れの最大の原因であるので、この作業のスピードアップを図る。データの入力形式は様々であり、この作業についてはソフトウェアやプログラム自動化は行えない。そのため、マンパワーに頼らざるを得ないことから、昨年度はデータの統合等についての作業環境の整備を行った。具体的にはパートタイマーに依頼してデータの入力や統合を優先的に行い、データの統合はほぼ完了したため、今後は解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本来であれば、データの解析後、さらにデータを追加購入して現在保有しているデータとの比較を行う予定であり、そのための予算を確保していた。しかしながら、現在のデータの解析が未だ完了しておらず、追加で行う作業もあったため、前年度にデータの新規購入は一度棚上げし、データクリーニングおよび統合、その解析に注力していた。繰り越した助成金はそのための人員確保や作業環境の整備に使用したが、追加データの購入分は未だ使用していないため、最終年度には次年度使用額を含めた助成金を追加データの購入に用いる予定である。
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