2019 Fiscal Year Research-status Report
非行少年における対人意識の変容と非行抑止に関する研究
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19K02201
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
作田 誠一郎 佛教大学, 社会学部, 准教授 (10448277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 少年非行 / 少年院 / 規範意識 / 支援者観 / 非行抑止 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非行少年の対人意識および規範意識の変化を明らかにするために、アンケート調査の結果をもとにインタビュー調査を実施して、出院後に注目される支援者観および非行抑止について考察する。少年非行に対する調査は、対象者である非行少年に対するコンタクトや非行少年の確定(どの少年を非行少年とするのか等)、その数自体が少ないなど、いくつかの課題をクリアすることが必要となる。本調査は、この課題に対応するために法務省矯正局ならびに各少年院の協力において実施している。 初年度である2019年は、これまで実施したアンケート調査の結果を精査することで、インタビュー調査の質問項目の関連を確認する作業ならびに非行少年に対する実態把握のための質問項目の検討を図りながらインタビュー調査を実施した。 アンケート調査の結果については、関連する学会で発表をおこないフロアからの質問や指摘から得られた知見をもとにまとめる作業に入っている。アンケート調査は、「家族」(家族構成や保護者・兄弟姉妹の関係、虐待経験など)・「学校」(教師やクラスメイトとの関係を含む)・「規範意識」(非行要因や非行の経緯など)・「少年院」(法務教官との関係や家族の面会や少年院に対する意識など)を中心に構成しており、当該年度においてそれぞれの結果について発表する機会が得られた。 他方、インタビュー調査については、アンケート調査の結果を検討しつつ少年院において半構造化面接を実施している。これまでに5か所の少年院(男子および女子を含む)において、初犯から再犯、14歳から20歳までのできる限り広範な収容少年を対象に実施した。一施設において2名の少年を想定していたが、少年院の協力のもと、多い施設では5名の少年に対してインタビュー調査を実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年は、各少年院(一人の対象者に対して入院直後および退院直前の2回のインタビューを実施した)でのインタビューを概ね実施することができた。さらに立ち直り支援に重要だと思われる支援者観や非行抑止のための要因等を考察するために、他の少年院(6カ所)を追加して調査の協定を結ぶことができた。特に新たに追加した少年院では、再犯や義務教育段階にある若い少年を中心に調査を実施する予定である。ただし、少年院の収容自体が減少傾向にあり、未成年者を対象とすることから調査に対して本人とともに保護者の同意も必要となる。この点をクリアするために少年院における対象者の選定が現状進まない状況が続いている。この追加した少年院の調査については、本申請の調査内容(5か所)が概ね実施されている段階であるため、調査自体に問題は生じないができる限り期間内に実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、追加した少年院において調査を実施する。特に再犯や年少の収容少年については、全体的に数が少ないことを念頭に少年院との調整および協力を仰ぐ予定である。現状としては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で調査の実施およびインタビューデータの書き起こし(データ保管の観点から研究室において実施)が困難であるが、状況が改善され次第、調査を継続する予定である。またさらに少年院を追加することで、できる限り調査対象を増やして調査の精度を高めていきたい。
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Causes of Carryover |
昨年度の調査の実施に関しては、概ね計画通りに実施できている。学内の研究補助金を獲得したことや人件費の執行(書き起こしのデータが残っている)および国立国会図書館や矯正図書館等における資料収集の実施が滞っている。特にCOVID-19の影響により、首都圏の往来に制限があることや大学の入構が現在も禁止されているため、資料収集や研究室における学生の書き起こし作業がストップしている。この点が、使用計画と使用額の差を生じさせたが、今年度は調査対象を増やす予定であり、かつそれに伴うインタビュー調査および昨年度のデータを含む書き起こしの人件費も必要となるため、概ね差額を含んだ本年度の使用計画を遂行できる予定である。
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Research Products
(5 results)