2023 Fiscal Year Annual Research Report
非行少年における対人意識の変容と非行抑止に関する研究
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19K02201
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
作田 誠一郎 佛教大学, 社会学部, 教授 (10448277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 少年非行 / 少年院 / イメージ / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、調査対象の施設におけるコロナウイルス感染防止の対応も緩和され、概ね予定されていた施設の調査を終えることができた。最終年度であることから、本年度は非行の抑止に関して少年院を中心に分析を進めた。特に少年院の入院経験が非行抑止に関連するのかという点に関して、在院している少年から入院以前の少年院に対するイメージを聞き取り、改めて調査時点における少年院に対するイメージを比較することで、その変化と出院後の再非行・再犯に関する資料を得るために考察を進めた。 結果として、在院少年の入院前における少年院のイメージは、マイナスの内容が多くを占めていた。しかし、少年院の教育や生活を通じて多くの少年のイメージはプラスに転化する結果となった。この変化のひとつは、一般的なイメージに共通するかもしれないが、少年院に対するイメージが極端に悪かったため、実際の少年院の生活との乖離が大きくプラスに変化したと考えられる。加えて、「社会より学べる」や「自分を変える」など、入院前の生活では経験できなかった自分自身に向かい合う環境や法務教官との関わりなどが、少年院に対するプラスのイメージの変化に寄与していることが明らかとなった。 再非行・再犯に対して、出院した少年に対する社会からのスティグマは、少年自身の犯罪・非行からの離脱や立ち直りに大きく影響する。特に少年院の入院経験が、社会においてネガティブなイメージとして出院した少年に付与されることは、心機一転して社会で生活していく少年にとって、再び再犯・再非行へと進んでいくことを強いる動因となりかねないこと、また非行少年に対する寛容な社会とは何かを改めて考究する手がかりが本研究で提示できたと考える。
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