2020 Fiscal Year Research-status Report
介護保険サービス提供における営利法人に対する政策的対応および政策理念の変容
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19K02232
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
石田 慎二 帝塚山大学, 教育学部, 教授 (30342265)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 営利法人 / 介護保険 / シルバーサービス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「介護保険法の施行前後における営利法人による介護サービス提供に対する政策的対応およびその背景にある政策理念の変容」について明らかにすることを目的としており、2019年度から2021年度までの3年計画で実施するものである。2020年度は、介護保険法制定過程を中心に1990年代の政策展開について文献・資料の収集および分析・考察を行った。 1980年代後半から1990年代にかけては、有料老人ホームをはじめとするシルバーサービスが台頭するなかで、シルバーサービスに対して新たに行政による指導監督をさらに強化するのではなく、事業者の自主規制により対応すべきことが示され、また社会福祉・医療事業団を通じ、必要な事業資金や経営資金を低利で融資されることになるなど、財政的支援を行うことによる市場機構の活用、良質なシルバーサービスに関する情報提供の促進が行われることになった。 介護保険法制定過程においては、営利法人の参入は中心的なテーマではなかったが、1990年代前半から議論されており、たとえば1994年の高齢社会福祉ビジョン懇談会「21世紀福祉ビジョン」では「サービスの提供機関については、機動的・弾力的なサービスの確保を図る観点から、民間部門の活用によるサービスの提供を促進していくべきである」との方針がしめされた。このようにサービスの供給量の拡大と質の向上を図る観点から民間活力の積極活用・規制緩和の推進等が議論され、これまで法律の枠外でサービスを提供していた営利法人が法律の枠内でサービスを提供することになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により不要不急の外出を控える方針が示されたことで、当初予定していた介護保険法制定過程の資料収集・分析・考察に遅れが生じた。この部分は、介護保険法施行以降の政策展開とも関連してくる内容であることから、2021年度の「2000年の介護保険法施行以降の政策展開」と関連させて分析・考察を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、2019年度から2021年度までの3年計画であり。①シルバーサービスが台頭しはじめる1970~1980年代の政策展開(2019年度)、②1990年代の介護保険法制定過程(2020年度)、③2000年の介護保険法施行以降の政策展開(2021年度)、の3つの期間に分けて、それぞれの研究対象の時代区分について文献・資料の収集および分析・考察を行っていくことになっている。今後の研究については、当初の予定通り、2021年度は「2000年の介護保険法施行以降の政策展開」の文献・資料の収集および分析・考察を行っていく。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により不要不急の外出を控える方針が示されたことで、当初予定していた介護保険法制定過程の資料収集等を実施できなかった。そのことで次年度使用額が生じたが、この分は2021年度に実施・使用する予定である。
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